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特集「最高の悪役」

2020年12月1日

特集「最高の悪役4」① 郷鍈治 
0課の女 赤い手錠(1974年 アクション映画)

監督 野田幸男

出演 杉本美樹/郷鍈治/丹波哲郎

シネマ365日 No.3401

いまやカルトです

特集「最高の悪役4」

郷鍈治を囲んだ共演者が素晴らしい。ピラニア軍団のリーダー・室田日出男。霊界の伝道者・丹波哲郎。鼻歌みたいな「いとしのマックス」でゴールドディスク賞を取った荒木一郎。日本の女優には珍しいグラマーで、役柄とはまるで逆の「やさしいよく気のつく子」と嵐寛寿郎が褒めちぎった三原葉子。京大文学部卒、在学中から同窓の大島渚らと学生運動に参加していた社会派・戸浦六宏。70年代東映ポルノ路線の女王、本作ではクールな女刑事を演じた杉本美樹。原作者は貸本屋世代には忘れられない「女囚サソリ」の篠原とおる。本作がカルトとして高い評価を得て現代に至るのも、宜(ムベ)なるかな。郷鍈治は札付きのワル、チンピラグループのリーダーです。神奈川刑務所を出所するや、直後に仲間とアベックを襲い、男を殺し、女を輪姦する。彼女が次期総理の椅子を狙う大物政治家、南雲(丹波哲郎)の娘・杏子だと知り身代金1億円を要求する▼南雲は警視庁に手を回し「娘を生きて取り返す。誘拐を知られてはならない。縁談(政略結婚)が潰れる。一切極秘、犯人を逮捕・裁判にかけることなく抹殺せよ」と指示を出す。警視庁の幹部・谷(戸浦六宏)は「南雲に貸しを作っておけば自分たちの将来は約束されたのも同然」と考え、了承する。問題は誰が実行するか。折しも外交官のレイプ現場に踏み込み射殺、刑務所入りした、女刑事の零(杉本美樹)に密命が下る。「お前の殺しを隠蔽してやる」と刑事の日下(室田日出男)は恩着せがましく鉄格子越しに告げるが、零は「友好国の外交官の殺しをうやむやにしたいのはそっちだろ」とせせら笑い。任務遂行後は、刑事復職もあり、の条件を飲んで捜索を開始。チンピラの巣、バー「マンハッタン」に潜入したがママの加津子(三原葉子)が正体を知っていた。三原葉子は出るシーンのたびに大飯を食っている。どんぶりにラーメン、焼きそばに餃子。どんぶりを抱え餓鬼のようにかきこむ。これじゃアラカンが「痩せるのに苦労していた」と同情したのも無理ない▼郷鍈治はちあきなおみと結婚後、妻の芸能活動のプロデュースに回り、俳優は事実上引退した。55歳で死去するのは早すぎた。特異な風貌は悪役が多かったが、コミカルな役もこなした。この人はもし長生きしていれば、ロン・パールマンの「ヘルボーイ」のような滋味のある役者になったと思う。劇中しばしばアップになるが、日本人離れした鋭い目鼻立ち、鍛え上げたスリムでしなやかな肉体は実兄・宍戸錠よりとんがっていた。丹波ちゃんは無慈悲な次期総理ナンバー1である。だいたい潜入刑事・零がドンくさく、すぐ悪漢らに捕まり、レイプされるうえアクションも下手、得意技は手錠外しくらいで逃げ足も遅く、主題歌はカラオケ並みの、ある意味ものすごいヒロインなのだが、がおどろおどろしいまでのバイオレンス脇役に埋没し、幸運だった。丹波ちゃんは失敗ばかりしている部下に業を煮やし、ついに自ら現場に出て救出作戦というか掃討作戦に出る。繰り出す刑事・警官は悪党どもにやられ残るは零だけ。情け無用、女刑事もろとも娘も抹殺しちゃえ、なんて、こんなやつ総理になったらどうするの。低予算丸出しの趣味の悪さ、バイオレンスてんこ盛りでチープこの上ない映画なのですが、弾け返った悪役たちがなぜか魅力的。

 

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