女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「最高の悪役」

2020年12月4日

特集「最高の悪役4」④ 梶 芽衣子 
女囚さそり けもの部屋(1973年 サスペンス映画)

監督 伊藤俊也

出演 梶芽衣子/成田三樹夫/渡辺やよい

シネマ365日 No.3404

負の女たちの復讐代理人 

特集「最高の悪役4」

さそりシリーズの中でも傑作と呼ばれる三作目。さそりこと松島ナミ(梶芽衣子)は目下脱獄逃亡中。地下鉄の車内で刑事、権藤(成田三樹夫)に追われ、手錠をかけられるが閉じかけた扉が権藤の腕を挟む。ホームからナミはドスを一閃、刑事の右腕を切り落とす。(そんなキレイに切れるかい)とか細かい文句をつける暇もなく、ぶっ飛ばしていく映画であります。血だらけの腕をぶらぶらさせたまま、東京の街なかを走る女にギョッ。彼女が娼婦のユキ(渡辺やよい)が墓場で仕事をすませていると、ゴリゴリと妙な音が聞こえる。暗闇に目をこらす。ナミが墓石で腕がついたままの手錠をすりつぶしているのだ。ユキのアパートに匿われたナミは仕事も見つけ、一人暮らしを始めます。登場する女たちは売春婦にギャングの情婦。妊娠した風俗嬢の闇医者による中絶や拷問。ナミは中絶を強制され、命を落とした女・しのぶに代わり闇医者を刺殺する▼梶芽衣子のセリフはほとんどなく、鋭い視線でモノを言う。ナミは女たちの虐待や町を仕切る男・鮫島の残虐なやり方を憎悪する。簡単に言えばナミだけでなく、女たちの怨念が全編の背景にあります。藤木孝のイロ悪はナミと間違えられ煮え湯をぶっかけられ大火傷で死ぬ。ユキは障害があって外に出せない兄の性処理の存在。東京下町の低いバラック屋根が並ぶうらぶれた町。女たちは男の暴力に人生を支配されている。日の目を見ない女たちの恨みの代理人がナミであります。やがて権藤に追い詰められたナミは地下水道に逃げ込む。路上への出口は警官によって封鎖された。水も食べ物もなく籠城するナミに、ユキがコンタクトを取る。「さそり〜、さそり〜」と呼びかけ、マッチを一本ずつ擦って水路に落とす。落ちるまでに消えると思いますが、しっかり火が付いたままナミの目に止まる。ナミは腰まで水に浸かりながら(ユキだ)。本作でたったワンシーン、梶芽衣子がやさしい目で見上げるのがここ▼ユキはマンホールの穴からフランスパンを押し込み(入るサイズではないと思うのですが)ナミを助けるが、隠れ場所を突き止めた権藤は地下水道にガソリンを注ぎ、ナミを火攻めにする(東京都内でできるのですか、こんなこと)。これで女はくたばった。ところが後日、鮫島の妻カツが逃げ込んだ刑務所に新入りが来る。「放火で3ヶ月」の女。さそりは生きていた。黙々と雑巾がけなどしながら狙うのはカツ。彼女の差し金でしのぶは命を落としたのだ。なんとうまい具合に権藤はカツに(ムショの鉄格子越しに)首を絞められて死に、カツはナミに殺され、ナミは刑期満了で釈放。ナレーション「さそりの行方は杳としてしれない」でエンド。物語はむちゃくちゃかもしれませんが、「極妻」の岩下志麻が陽なら、梶芽衣子は「昭和のビッチ」陰。どっちも名花です。ナミが脱獄で指名手配されているポスターの写真、これだけ顔がばらまかれているのに、なんで刑務所潜入の時、正体がばれないのか、本作は至るシーンで「不思議ちゃん」総動員ですが、ほじくるより、梶芽衣子のキメ顔でも見ている方が元の取れる映画であります。

 

あなたにオススメ