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特集「ダンディズム-dandyism-」

2021年1月3日

特集「ダンディズム8」③ 市川雷蔵3 
若親分を消せ(1967年 アクション映画)

監督 中西仲三

出演 市川雷蔵/藤村志保/木暮実千代

シネマ365日 No.3434

雷さま! 

特集「ダンディズム8」

長期のシリーズものには一作や二作、制度疲労があるけど、本作がそれね。若親分・南条武(市川雷蔵)は出所を迎えに来てくれた亡父の親友・弥五郎が汽車の中で何者かに殺された。「水上のよろい」というダイイング・メッセージを手掛かりに武は仇を取るため水上市に来る。料亭観月楼の新入り板場になる。女将のサダが木暮実千代。そこでかつての上司、秋月中佐の遺児、芸者の千代竜(藤村志保)を知る。事情を聞けば多額の借金のカタに悪評高い金貸しに身受けを迫られている。艦隊が入港し海軍時代の親友と偶然会う。千代竜の身受け金を頼むと、士官同士が金を出し合い、彼女は自由の身となってサダの養女となる。海軍兵学校にいるサダの息子勝己が帰郷した。地元の小日向組の親分の娘英子と結婚の約束をしている。新興ヤクザの鎧組は因縁をつけ勝己を監禁、目障りな武を消そうとする▼武は千代竜から父親の軍服を借り、秋月中佐と名乗って鎧組に乗り込み勝己を救出する。鎧組の幹部が首をひねる。「兵学校の学生相手に中佐がやってきますかね」(その通りだわ!)。勢力を伸ばそうとする鎧組は小日向の親分を騙し討ちにする。遺骸を引き取りに行った武は「南条組二代目、南条武」と名乗る。宣戦布告である。そこで弥五郎の殺しの現場に落ちていた短刀の鞘に、合致するあいくちを持っていた組の幹部を発見する(鞘も拾わず、抜き身の短刀を持って帰る、こんなあわてもののヒットマンがいるのでしょうか)。若親分、今や世をしのぶ仮の姿を捨て、小日向親分遺愛のドスを手に「こんな無法者は天が許しておきません」天に代わって成敗するのである。鎧組に向かう途中小さな神社で祈願し晒しを巻く。ここから先はランボーである。造船所の資材置き場の陰に身を潜めつつゲリラ戦を展開、蜘蛛のように張り付き、猫のように跳び、ひしめく野郎集団を物陰から血祭りにあげ、姿を現わすや夜叉のごとく跋扈する。鎧組親分の最期は、トロッコに重油を放ち、火だるまのそれを走らせ圧死させるというワイルドさを見よ▼鳳啓介・京唄子がコメディリリーフで息抜きさせます。板場の雷蔵は気さくな好青年そのもの。笑顔が人懐こく腰が低く、そのくせ善良な市民がピンチにあっている時は必ず「待っておくんなさい」と人垣の中から割って入る。強面の男がたとえ何人取り囲んでも「堅気の衆相手ではせっかくのお名前に傷がつくというもの」とかなんとかおだてて引き下がらせる。一変、南条武に戻ったならば、切れ長の目に悽愴な光をほとばしらせる。制度疲労のヘッタクレの、は吹き飛んで「雷さま!」である。ヴァンプ役で鳴らした木暮実千代が、たっぷりと情のある女将を、藤村志保が「破戒」以来、雷蔵と息のあった共演。武の後を追おうとする彼女に「来るんじゃない! あなたは自分の幸せの道を行くのだ」と振り切り薄い藍色の空を背に去る。昭和の名悪役・安部徹が憎まれ役の鎧組み親分で出演。彼の悪人ヅラが登場すると何ゆえか懐かしくなる。

 

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