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特集「ダンディズム-dandyism-」

2021年1月9日

特集「ダンディズム8」⑨ ジャック・ロウデン 
ファイティング・ファミリー(2019年 事実に基づく映画)

監督 スティーヴン・マーチャント

出演 フローレンス・ビュー/ジャック・ロウデン/ヴィンス・ヴォーン

シネマ365日 No.3440

周りを活かす才能 

特集「ダンディズム8」

女子スポ根ものの王道です。ヒロインはイギリスでプロレス興行を家族経営するナイト家の娘、サラヤ(フローレンス・ビュー)。生まれた時からレスラーの血が「不治の病」のように流れている。サラヤはリングで活躍するが、数十人の観客しか集められないマイナーな存在だ。いつかプロレスの最高峰WWEにデビューするのが一家の夢だ。デモテープを送ったところ、WWEのコーチ、ハッチヴィンス・ヴォーンから電話が来てサラヤと兄ザック(ジャック・ロウデン)にオーディションのチャンスが与えられた。受かったのはサラヤだけ。彼女はフロリダのトレーニングに合流する。しかしWWRのもとめる女子レスラーは「見た目」はいいがプロレスは素人のモデルとかチアばかり。アメリカ人ばかりの彼女らの中で、黒い髪、イギリス英語を喋るサラヤはバカにされ、トレーニングは厳しく、孤独と疎外感でイギリスに帰る▼そこでサラヤは頑張るのですけど、本作では兄ザックがいいのです。夢を断たれ、結婚して子供が生まれ、家庭人として暮らすザックには妹への嫉妬がある一方で、一家の夢を叶える存在だとわかっている。すごすご帰英したサラヤを、ザックはエキジビションのリングで本気で痛めつけます。なんで帰ってきた、この負け犬。お前が諦めたら、俺が夢を捨てた意味がない…父と母はそんなに辛いなら無理に戻らなくてもいいと慰めるのですが、兄は口もきかない。サラヤは腹を決めてフロリダに戻ります。モデル上がりだとバカにしていた「素人三人組」は実は娘のいる母であり、シングルママであり、成功して娘と一緒に暮らしたいと、必死に浮かびあがろうと辛い練習にしがみついていた。「私たちの覚悟も知らないで、見下すの、やめて」。サラヤは彼女らに心を開き、ハード・トレーニングを支えあいます▼サラヤのプロレスは激しい技で客を沸かせ、ハッチはWWEの大イベント“レッスルマニア”への参加チャンスを与えました。対戦相手は現チャンピオン。大舞台へのデビューです。当日、サラヤは兄ザックに電話します。「ヘマしそう。きっと観客にも嫌われる」「自分を出せ。代わりはいない。ナイト家だろ。レスラーの血が流れている。俺たちのレスリング病は不治の病さ」。サラヤは兄が好きでした。レスリング教室を開き、地元の子供達に悪い遊びをやめさせ、目の見えない子にレスリングを教える、そんな兄を尊敬していた。長男ロイが出所し(この一家は両親もムショ帰り)、弟に言います。「妹がWWEに行くなんて。彼女は俺にないものを持っている」「何を」と弟。「お前さ。お前には自分の周りを活かす才能がある」。1万5千人の大観衆の前でサラヤはリングに上がる。関節技であわやという危機を跳ね返し、チャンピオンからカウント3を奪う。テレビの前では父も母も、ザックも嫁もその両親も目を皿にして見つめていた。お上品な義母が興奮して叫ぶ「タマを舐めろ!」▼サラヤが頑張るのは当たり前ですが、妹の背中を押すザックがいい味を出しています。男兄弟の良さ、コーチに扮したヴィンス・ヴォーンの渋さ。ジャック・ロウデンには「否定と肯定」「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」。ヴィンス・ヴォーンには「ドッジボール」「サムサッカー」「インターンシップ」などの忘れられない佳品があります。

 

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