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特集「ベストコレクション」

2021年1月18日

特集「令和3年新春ベストコレクション」⑦ 
魔術師(下)(1975年 社会派映画)

監督 イングマル・ベルイマン

出演 マックス・フォン・シドー/イングリッド・チューリン

シネマ365日 No.3449

ベルイマンの魔術 

特集「令和3年新春ベストコレクション」

翌日、警察署長の要請によって日中の魔術会が催されました。署長たちは空中浮遊の奇術の仕掛けを暴き、一座を笑い者にします。ヴォーグレルとマンダは反撃に出る。署長の妻に催眠術をかけ「真実の瞬間」を喋らせる。「お小遣いは月いくら? いつ結婚を?」夫人「あんなヒヒ親父と結婚なんて」「でもご主人でしょ」「夫はブタよ」署長は色をなし「今すぐやめろ」「食卓でオナラはするし、ひどい体臭だし週末は女を買う」「子供たちに恥をかかせるな」「あんたの子供じゃないわよ」術を解いた。「私、何か言った? 帰ってお料理しなくちゃ」夢から覚めたようにスタスタ出て行く。次は「見えない鎖」だ。大男のアントンソンの両腕にマンダが鎖を巻く仕草をする。アントンソンは金縛り。引きちぎろうとするができない。床に這い悶える。屋敷中の使用人はし〜ん。術が解けるとヴォーグレルに飛びかかり首を締め上げた▼医師が死んだと認めた。即検死である。屋根裏部屋に死体を運び込み、一通りの処置を終えた医師が報告書を書く。死んだはずのヴォーグレルの腕が医師の手首を掴んだ。「暑さのせいで幻覚を見たのだ」医師は気をとりなおす。鏡を見るとヴォーグレルが背後に立っている。医師は錯乱して階段から転げ落ちる。襲いかかろうとしたヴォーグレルを制止したのはマンダだ。医師は観念し非科学的な魔術におののいた自分の怯懦を認める。ヴォーグレルは、医師が解剖したのはホームレスの遺体だと種明かしをする。彼がカツラと髭を取ると全く風采のあがらない中年男だった。翌日一座は屋敷を去ることにしたが、祖母は怪しげな媚薬を売った金がしこたま貯まったから一座から抜けるといい、司会役のチューバルは料理女と所帯を持ち屋敷にとどまる、そのかわり助手のシムソンと一緒になるメイドが新規加入した。ヴォーグレルは領事夫人に「一文無しです。せめて見物料を」乞うが、驚異の魔術師の威容を解いた、みすぼらしいヴォーグレルに夫人は恐怖。医師が「持っていけ」と金を床に投げた。出発する4人。そこへ王宮から使者の早馬車が到着した。「国王は磁力魔術なるものを見たいと仰せである。直ちに王宮に赴き、陛下の前で芸を披露するように」。天地逆転。一座は王の招聘を受ける賓客となった。ヴォーグレルは胸を張り「道具を王宮へ送ってくれ。貴重品だ。気をつけろ」署長に命じた▼ベルイマンははかない芸人たちの味方をしていますね。騙しの技で身すぎ・世すぎをしている貧しい芸人達。世間から一段低く見られ、魔術などまっとうな職業と見られていない彼らをアウトローと捉えています。いかがわしい薬を売りつける老婆、でも彼女が少女に語って聞かせる「ただ一つの愛」の歌は本物。ヴォーグレルとマンダが仕掛けた隠し技は彼らの芸人魂。署長の「真実」をヒン剥き赤恥をかかせる。ミステリアスな魔術師はヘナヘナで額の禿げ上がった中年男。偽物と本物なんかではない。どっちも同一人物だ。絡み合う虚々実々。闇と光芒。これこそがベルイマンの繰り出した魔術。気持ちよくやられました。

 

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