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特集「B級映画に愛をこめて」

2021年1月28日

特集「B級映画に愛を込めて16」③ 
コリンヌ・クレリー/濡れたダイヤ(1976年 劇場未公開)

監督 パオロ・カヴァラ

出演 ミケーレ・プラチド/コリンヌ・クレリー/イーライ・ウォラック

シネマ365日 No.3459

至宝だって? 

特集「B級映画に愛を込めて16」

ジャケ写にこうある。「フランスの至宝、コリンヌ・クレリー主演のカルトサスペンス」なのにこの「至宝」は途中からチョイと顔を出す脇役で本筋に何も絡まない。どこが「至宝」だ。連続殺人はサスペンス、ミステリーの常道だが、本作の冒頭、中年男が美女に殺される。絞殺だ。マゾっ気はあるが、ひとかどの男が女にむざむざ絞め殺されるまで何も手出しできないなど、おかしい。それとこれを持ち出すのはルール違反だと承知の上なのだが、主人公の敏腕刑事(という触れ込み)のロレンツォを演じたのはミケーレ・プラチドだ。彼は後年「題名のない子守唄」で「黒カビ」を演じた。ジュゼッペ・トルナトーレ監督の傑作にあげたい作品である。女を妊娠させ産まれた赤ん坊を売り飛ばす乳児売買の主犯だった。え〜、彼の若い時の映画なの…後年トルナトーレが選ぶくらいだから、きっと実力派だったのよ、と期待した▼7人が殺された裏に麻薬密輸とセックス・パーティーと、復讐が絡む。殺し方は、バスの中で女性を頭が凹むほどレンチで殴り殺す。テレビのインタビューを受ける男性の額をどこからか撃ち抜く。娼婦を公園の木に縛り付けガソリンをかけ焼き殺す。現場には有名な絵本の絵の切り抜きが名刺代わりに置いてある。被害者の共通項は「野獣友の会」設立メンバーだった。野生動物を絶滅の保護を訴える会だが、主催者ホフマンは旅先で脳溢血によって死に、会は事実上解散、彼の別荘は廃墟となっている。ここでかつて淫らなパーティーが開かれており、ローザという娼婦が心臓麻痺で死んだ。彼女は動物を輸送する檻の鉄棒が空洞で、そこにダイヤを詰めて密輸している実態を知ってしまい、無理やり酒を飲まされ、心臓麻痺ということにされたのだ。リュック(イーライ・ウォラック)という私立探偵がいる。セレブが持ち込む案件だけ引き受け、上流社会の裏事情に通じ、国さえ彼の情報力を当てにする黒幕である。ロレンツォの上司デル・レ警部はある日突然辞職し、行方が知れない▼連続殺人の犯人はリュックで、絵を置くのはゲーム、動機なき殺人は警察への挑戦だと。リュックにそれを依頼したのは失踪した警部で、今はリュックの助手という立場で犯罪に関わっている。彼の動機は「自分を追い出した警察への復讐」だった。追い出した理由は詳しく語られない。殺人ばかりむやみに起こる荒っぽいストーリーだ。コリンヌ・クレリーはロレンツォの恋人役だが、いてもいなくてもどっちでもよい「至宝」だ。イーライ・ウォラック。「荒馬と女」でマリリン・モンローと共演した時の、自動車修理工を思い出す。トム・スケリットがロレンツォの上司で出演しているが全然見せ場はない。当年(202087歳。「コンタクト」でジョディ・フォスターの功績を横取りする、せこい学者が憎らしくてよかった。こんな個性派を揃えながらブスブスと不完全燃焼に終始した映画も、残念だけれどあるのだ。

 

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