女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「昭和のスター列伝」

2021年2月1日

特集「昭和のスター列伝3」 市川雷蔵①  
続・忍びの者(1963年 社会派映画)

監督 山本薩夫

出演 市川雷蔵/藤村志保/城健三朗(若山富三郎)/東野英治郎

シネマ365日 No.3463

忍者五右衛門の青春

特集「昭和のスター列伝3」

本能寺の変は忍者が仕掛けた歴史上の大事件だった…史実とフィクションを取り入れた忍者映画の佳品。前作「忍びの者」より完成度が高いです。伊賀忍者砦を織田信長が壊滅した。しかし生き残りの忍者たちは粘り強く信長暗殺を図っていた。妻マキ(藤村志保)と生まれたばかりの息子五平と山奥で暮らす五右衛門(市川雷蔵)は、二度と忍者には戻らないと誓ったが、最愛の息子を“忍者狩り”によって殺された。妻の実家、紀州雑賀に逃げのびた五右衛門を、徳川家康の配下となった服部半蔵が訪ねる。信長に冷遇され不安と不満の募る明智光秀に謀反させたら復讐はかなう、と持ちかける。五右衛門は乗る。家康の饗応役を解かれ、高松城を攻撃中の羽柴秀吉(東野英治郎)を援軍せよと命が下る。60万石の大名である光秀が、なんで羽柴の手伝いに。臣下は怒る。光秀の屋敷の庭に忍び込んだ五右衛門は「信長は一度憎んだ人間を決して許さない。使い捨てにする鬼だ。伊賀忍者は一掃された。しかし自分は雑賀衆・根来衆とともに必ず信長を討つ。お殿様(光秀)さえ、きっかけを作ってくれたら必ず味方する」と約束して姿を消す▼光秀は善政を敷く優秀な経営者だった。部下たちは光秀の「敵は本能寺」と聞き待ちかねたように決起する。明智軍が来た。五右衛門は本能寺の床下に積んだ枯れ木の束に火をつけ、火の手を上げる。60年前の撮影ですが、戦闘シーンはスペクタクルです。本能寺は炎上。覚悟を決めた信長は部屋に閉じこもり腹を切ろうとする。そこへ五右衛門。抜く手も見せず信長の右腕を切り落とし左足の膝から下もスパッ。血の海にもがく信長に「死ね。俺の見ている前で死ね!」冷たく笑いながら言い放つゴア・シーン。次は秀吉だ。彼は妻の仇なのだ。雑賀衆の砦は石田三成軍の総攻撃を受け、兵糧攻めだ。このままでは全員餓死する。自分の粥を、村の子供に分ける妻を見て、五右衛門は村を脱出。根来衆の支援を取り付け雑賀に戻ったが遅かった。砦は崩壊。妻も死んでいた。殺してやる。そこへ再び服部半蔵が。彼の後ろに家康。信長も秀吉も暗殺され、おいしいところをいただこうと腰を据えている▼半蔵は秀吉が逗留する聚楽第の見取り図を五右衛門に与える。壮麗な和風ベルサイユみたいな宮殿に忍び込んだ五右衛門は、秀吉の寝所・天蓋付きベッドまで追いつめるが護衛に取り囲まれがんじがらめ。秀吉は三条河原で「釜茹でにせよ」と命じた。高手小手に縛られた五右衛門が裸馬に乗せられ刑場に向かう。竹矢来から服部半蔵が見ていた。馬から降りた五右衛門は河原の向こう、盛大にたぎる大釜に近づいていく。緊張感あふれるラストです。青年忍者の悲劇を雷蔵が惜しみなく好演。信長を殺したあと彼は雑賀に戻る。「信長死す」で雑賀衆が沸く会合の座から妻を連れ出す。五右衛門の頬に浮かぶ、隠しきれない笑み。「あんたね。信長を殺したのは」五右衛門は妻を抱き上げじっとして居れぬ、というように歩き回る。こんな夫婦の情景と、陰鬱・サディスティックなラストが、五右衛門の一途な、そして波乱の青春を際立たせます。光秀役に山村聰。どうしても信長と相容れぬ教養人をうまく出しています。東野英治郎は初代「黄門さま」。イケメンどころか、小男で貧相な、でもどことなく人好きする智謀の男、人を操る名人とは、ひょっとしてこんな男だったのかも、という気にさせました。

 

あなたにオススメ