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特集「昭和のスター列伝」

2021年2月2日

特集「昭和のスター列伝3」市川雷蔵②  
新・忍びの者(1963年 社会派映画)

監督 森一生

出演 市川雷蔵/若尾文子/東野英治郎/三島雅夫

シネマ365日 No.3464

サイコ男・五右衛門 

特集「昭和のスター列伝3」

「忍びの者」シリーズを、わたくし「ミッション・インポッシブル」と捉えております。織田信長に始まり、明智光秀の「本能寺の変」、豊臣秀吉と徳川家康の覇権争いを裏で画策した忍者・石川五右衛門(市川雷蔵)。スケールの大きい作品でして、歴史上のビッグがずらずら登場し、私たちがよく知った事件、本作では秀吉の朝鮮征伐とその失敗、淀殿の登場と秀頼の誕生、豊臣秀次の誅殺、石田三成の陰謀、家康の豊臣家滅亡のシナリオなどがぎっしり。シリーズ3作目ですが本作が初見でも充分内容が把握できます。それに「続・忍びの者」で釜茹でにされた五右衛門が、服部半蔵の手引きによって生きていたなど、まことしやかな創作も大胆。冒頭、綱でがんじがらめにされた雷蔵が刑場に赴く表情がワイルドで素敵だ▼信長に妻子を殺され、忍者砦は壊滅。五右衛門は雑賀と根来忍者と組んで忍者の復権を果たそうと団結したのに、秀吉が掃討。家康の意を受け半蔵が助けた五右衛門は復讐の鬼となって秀吉とその一族を皆殺しにすると誓う。サイコじみてきました。家康は五右衛門がうまく暴れて豊臣の土台をガタガタにしてくれればそれでよい。したがって五右衛門にはたっぷり活動費が与えられる。伊賀砦で右に出る者がいなかった読心術の名人、五右衛門だ。家康の腹は読めているが、今は乗っかることにする。半蔵は五右衛門の隠れ住む廃寺に食べ物、水、酒を世話女房のごとく運び込む。秀頼誕生後、秀吉の寵愛を一身に集める淀殿に忍び込み「なるほど、サルみたいな子だのう」とあざ笑い誘拐を試みるが失敗。次は北政所の枕元で「秀吉と淀殿にとってお前は邪魔者なのだ。気をつけられよ」と毒を吹き込む。関白の座にいながら不安におののく秀次には石田三成のスパイを側近が誰かを(小姓だった)を教え、情報が筒抜けになっていたことでさらに不安を煽る。秀吉のもとには秀次の失策がとっくに報告されており、ついに高野山で切腹。諸大名が見捨てたような北政所のもとにしげしげ足を運ぶのが家康。全方位外交に抜かりはなく「太閤さま今日あるは木下藤吉郎時代からの糟糠の妻、お方さまのおかげでございます。この家康、何があろうとお方さまの献身を忘れませぬ」と喜ばす。家康は豊臣家を滅亡させたが政所だけは余生を手厚く遇した。華美に走らず、京言葉でなくいつも尾張弁で喋る素朴な彼女と、質素隠忍を旨とする家康はどこか気があったのだろう▼堅牢無比な要塞・伏見城籠絡は、五右衛門に忍びの術ショータイムのようなシーンにワクワクする。秀吉の寝所に侵入したが狙い続けてきた仇が「くたばりそこないの老いぼれ」とわかって、五右衛門は秀吉を殺さず、家康の謀略によって滅びるさまを高みの見物だ。いやらし〜サイコ男の極みである。関ヶ原の合戦、大坂冬の陣・夏の陣によって大坂城落城。秀頼も淀殿も死んだ。目的を達した五右衛門は姿を消した。以上、エンタテインメントに溢れた歴史・アクション・社会派の佳作でございました。

 

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