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特集「昭和のスター列伝」

2021年2月7日

特集「昭和のスター列伝3」市川雷蔵⑦  
新書 忍びの者(1966年 社会派映画)

監督 森一生

出演 市川雷蔵/藤村志保/田村高廣

シネマ365日 No.3469

雷蔵、8作を連投

特集「昭和のスター列伝3」

1962年「忍びの者」から「続・忍びの者」「新・忍びの者」「忍びの者霧隠才蔵」「忍びの者続・霧隠才蔵」「忍びの者伊賀屋敷」「忍びの者・新霧隠才蔵」と続いた忍びシリーズ、8作目にして最終編。ですが、これまでとお話を新にして、主人公は霞小次郎(市川雷蔵)。父親を3人の忍者に殺され復讐のため武田忍者の頭領・黒戸左太夫(伊藤雄之助)に弟子入りし、厳しい訓練を受ける青年忍者だ。1人目の仇は鎖鎌使い。2人目は徳川方の忍者夜叉丸。3人目は自分を育てた左太夫だった。歴史的背景は戦国動乱期。京を目指す武田信玄が乱波(忍者)を重用していた。左太夫は信玄が信長や秀吉と違い、忍者の価値を認めてくれる武将だと信じ、困難な任務を全うする。しかし二俣城攻略の作戦で信玄が忍者仲間を見殺しにした。生き残った忍者は左太夫と小次郎と音吉の3人。音吉は殺され、左太夫と小次郎は信玄の宿舎に忍び込み、天井から毒の吹き矢で信玄を殺す▼宿舎の大屋根で自分がお前の仇だと教えた左太夫は、小次郎に戦いを挑むが初めから仇を討たせるつもりでいる。彼には茜(楠道代)という養女がいる。彼が殺した伊賀忍者の子供だが、くの一にせず、穏やかな人生を歩んで欲しいと願っている。その茜を「頼む」と言い残して死ぬ。本シリーズは「忍びの組」ともいうべき、おなじみの監督、俳優、女優が入れ替わりたちかわり登場します。伊藤雄之助は第1作から4年ぶりの出演です。彼の瞬間移動の秘術を体得するため、小次郎は過酷な訓練に励みます。何日も野を駆け通す体力、百発百中の手裏剣、跳躍力、逆さ吊りから脱出する関節技。忍者ビギナー・小次郎が一流の忍者に成長していくプロセスが具体的で面白い。二俣城を落とすには、城内に1つしかない井戸を埋めて水源を絶つと決めた左太夫らは、30キロの地下道を不眠不休で掘り続け、井戸を破壊する。地上では軽業のように身を処す忍者も、トンネル掘りはツルハシを振るい、モッコをかつぐ。これまたリアル。それまでのスペクタクルの戦闘シーンに比べ本作は地味目です。左太夫の死によって小次郎は復讐を終え、ラストは「あかねー」と笑顔で呼びながら帰路を走る。第1作も「マキー」と妻の名を呼び伊賀に帰る五右衛門と一緒。全体に既視感があったことは否めませんが、とにもかくにも「復讐の忍者」これにて終了。シリーズ物は「寅さん」みたいなモンスター級がありますが、それまで子供だましだった忍術映画を、復讐の情念を絡み合わせた「ミッション・インポッシブル」にした功績は大きい。アクション映画としても特筆できる。市川雷蔵は4年間に8作。年2本の割合で出演した。もちろんボディはいるが、木に登り大屋根を走り水に潜り、達者な水泳を見せよく頑張った。勝新太郎が「雷ちゃんのセリフは一行の内容を3倍くらいに表す」と言っていた。雷蔵は年間平均10本の作品を撮っていた。本シリーズ8作においても、心身の好調を維持し連投した雷さまに拍手。

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