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特集「昭和のスター列伝」

2021年2月17日

特集「昭和のスター列伝3」市川雷蔵⑰ 
影を斬る(1963年 コメディ映画)

監督 池広一夫

出演 市川雷蔵/嵯峨美智子/坪内ミキ子/藤原鎌足

シネマ365日 No.3479

「男のクズ!」 

特集「昭和のスター列伝3」

伊達62万石の居城、青葉城。剣術指南役・井伊直人(市川雷蔵)は城主・伊達忠宗の悪友だ。昼は天守閣で昼寝、夜は岡場所に繰り出す。忠宗は将軍家から嫁いだ奥方・和子に頭が上がらず、嫁などもらうものではないと直人に愚痴る。その直人に家老の娘、仙台小町と誉れ高い定(さだ=嵯峨美智子)が押掛け女房でやってきた。舞い上がった直人は、しかし婚礼の客立会いのもと、定に試合を所望され、鼻であしらうつもりが無残に打ち負かされる。用人の左内(藤原鎌足)を連れ江戸に修行に出かけた。半年後帰藩し、再び手合わせするも惨敗。相変わらず遊び呆け、色の道の修行のみに勤しんでいた。ある夜料亭に遊んでいた直人は定にそっくりな芸者君龍に会う。定の変装ではないかと疑い、仙台に急行したが道場で定が凛々しく藩士の娘たちに薙刀の訓練を施していた。直人は江戸に逆戻り▼君龍と2人料亭の帰り数人の暴漢に襲われる。藩の同僚に助けられたものの直人の目を覆う頼りなさに君龍は激怒。「男のクズ」と言い放ち直人にビンタを食らう。すっかり腹に応えた直人は柳生一門に弟子入り、数年後江戸に帰り、三度目の手合わせで定を打ち破る。大喜びしたのは城主・忠宗。「男が女の風下について生きていけるものか。直人あっぱれ」。奥方は夫の本音を知り、城主と差し置いた数々の振る舞い「お許しくださいませ」。定は定で「お暇いただきたい」と申し出る。「武芸の心得を鼻にかけ二度まで恥をかかせましたが、自分のためにやったのではありません」。父家老と左内と共にグルになり、直人の性根を入れ替えるために君龍と名乗り、一芝居打ったのだった。「俺を立ち直らせようとした女心がわかっていなかった」と、2人はめでたく床入り。あくびが出そうな映画だが、つくづく考えさせられる。この映画では、女の価値はトドのつまり男を救済するためにあるわけね。剣術指南とは名ばかり、道場破りは金を握らせてわざと負けさせ、毎夜の夜遊びは数人の女と浮気。代々受け継いだ家具・伝統の品々は質に流れ廃屋に等しいあばら屋で、雇用人は愛想を尽かし左内を除いて皆オサラバ▼直人は全く誠実味がない。城主の愚痴をほどよく聞くだけで、彼の妻の立場を理解させようとするわけでもない。こんな鉄板チャラ男に定が押掛け女房になったとは、そもそも「私が立ち直らせてみせる」の意図ありだったということか。どっちもどっちね。本作は1963年、昭和38年だった。それから58年。「ワンダーウーマン」がスタイリッッシュだとのぼせる前に、本作のような映画が受け入れられた時代のクソいまいましさを思わずにはいられない。

 

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