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特集「ベストコレクション」

2021年3月7日

特集「春は弥生のベストコレクション」⑦ 
チア・アップ!(下)(2020年 ヒューマン映画)

監督 ザラ・ヘイズ

出演 ダイアン・キートン/ジャッキー・ウィーヴァー/パム・グリア

シネマ365日 No.3497

みんな、大好きだからね

特集「春は弥生のベストコレクション」

マーサは当初動画が無断で投稿されたことに腹を立てていたのですが、投稿した本人クロエが謝りに来ると、振り付けをしてほしいとコーチを依頼します。クロエは高校生のチアリーディング部の中でただ1人、高齢者チームを笑わなかった女の子です。マーサはチームのひとりひとりに誰にでもいいところが必ずある、といい「鏡の中の自分を見て。誰でも人目を気にするものよ。自分がどう見られているかが気になるの。でも本当に大事なことは自分がどう思っているかよ。だから自分を受け入れるの。自分の好きなところをひとつ挙げて」「手よ」「髪よ」「手首」「笑顔よ」。新しい振り付けで練習が始まった。しかしマーサは時々、下腹を抑えて痛みをこらえ、トイレに行って嘔吐していました▼マーサが病院に担ぎ込まれた。「なぜ黙っていたの。友だちには言ってよね」とシェリル。「とにかく明日、退院できるわ」「(会場には)行かない」「あなた、リーダーなのよ。首に縄をつけても連れて行くわ」「シェリル、私はもう直ぐ死ぬのよ!」。シェリルの胸で泣く。シェリルは同情もせずこう言う。「でもね、マーサ。昨日も来週も多分その状態は変わらないでしょ。踊りなさいよ」「恐いの」「当然よ。ガンの野郎に地獄に堕ちろと言ってやりな」「ありがとう。友だちでいてくれて」「冷たい足ね」「でしょ」。出発の朝。マーサが来ない。時間がない。「もう来ないよ」「マーサが来るまで出発しない」ガンとしてシェリル。マーサがクラブの送迎バスで到着した。あとひとつ、彼女らは息子が外出を禁じているヘレンを脱出させたのだ。会場受付で「高齢すぎます。本大会は若い女性が対象です」「18歳以上が条件でしょ」そこへクラブの警備員アールが割って入った。「参加拒否は州法と連邦法に違反だ。参加を認めないと年齢差別で罰するぞ」アールの口から出まかせの法律で出場OK 。チームは円陣を組んだ。「マーサ」とシェリルがスピーチを促す。「できると言ったけど、笑い者になるかもしれないし、どうなるかわからない。でもこの仲間と踊れて幸せよ。みんな大好きだからね」。幕が上がった。クロエの若々しい振り付けで一糸乱れぬチームワーク。最高潮に達した時ヘレンが車椅子で出場した。拍手が満場を揺るがす▼一年後。マーサは死んだ。遺言通り、花火の打ち上げで葬儀は行われた。夜空を焦がす火花の散華を見上げるチームメイトたち。彼女らはその年の大会にも出場した。円陣を組み「マーサのために」。チーム「サン・スプリングス」はマーサを追悼して卵巣ガン研究を支援すると表明した。年齢と死に寄り添いながら、すべてを受け入れ、今を切に生きる女性たち。高齢者という社会的マイノリティを主人公にしたシリアスなテーマにもかかわらず、ユーモアあり、皮肉あり、周囲への反逆と、死への切実な恐れあり。最後には女同士の友情と思いやりが、しみじみ胸を打つヒューマンな映画です。

 

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