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特集「別室でミステリーを」

2021年3月26日

特集「別室でミステリーを3」③ 
無垢なる証人(下)(2020年 法廷映画)

監督 イ・ハン

出演 チョン・ウソン/キム・ヒャンギ

シネマ365日 No.3516

それは劣っていることではない

ジウが初めて法廷に入ってきた時、耳を覆い「時計の音が大きい」と悶えた。スノは犬の吠え声に過剰に反応するジウを思い出し「時計の音を止めてほしい」と裁判長に頼む。傍聴席の突き当たりにある時計の「秒針の音が?」裁判長は怪訝な顔だったが、時計は止められジウは落ち着いた。スノはネクタイを外し水玉模様がいくつあるか数えるよう陪審員に求めた。スノの上司ビョンウ所長は、再び専門書を引用し「自閉症の人は自分の感情や記憶を正確に伝える能力に欠ける。つまり証人としては不適格である」と指摘した。ジウは立ち上がり「普通と違うことが必ずしも劣る能力とは限らない」と意見を述べた。所長は(一体どっちの味方だ)と怒りをにじませる。そこでスノは水玉の数を数えさせたのだ。陪審員のカウントは196個だった。ジウの言った数通りだ。「裁判長、彼女は特別な方法で意思を伝えるのです。法廷警備の方、一番奥に立って小さな声で何か言ってください」ジウに「何と聞こえた?」「ソウル高騰裁判所保安係キム・ヨンブン」間違いなかった。「聴力が異常に敏感なのは自閉症の特徴の一つです。先天的な気質により鋭い聴力を持ち、中には蝶の羽ばたきを雷の音のようだと話す子もいます」ジウに向き直り「あの日、ミランおばさんの言った言葉を覚えていますか。全部で何文字でしたか」「108字です」「聞いたことをそのまま言ってください」「えらく執念深いこった。まだ生きるつもり? あんたさえ死ねば息子さんも助かる。だから死んで。寄付するくらいなら私たちにくれればいいのに。しぶといジジイだ。まだ生きている。完全にくたばった。てこずらせやがって。チクショウ」。書きとめた文字は符号を覗くと108字だった。「証人は写真のように言葉を脳に保存します。だから正確な証言ができる。前回裁判で誤ったのは、私たちが証人の能力を知ろうとしなかったからです」ビョンウ所長が怒鳴った。「スノ、何の真似だ。君は弁護士だ。裁判長、彼は弁護士の義務に違反しています」(その気持ち、わかるけどね)ともかく真犯人は挙がった。ミランは資金繰りに苦しむ被害者の息子の指示を受け、共謀したのだ。もちろんスノは弁護士事務所をクビだ。彼の恋人は大きな訴訟事件に立ち向かっている。有利な条件で示談に手を打てとスノは忠告したが、彼女は拒否。あくまで戦う姿勢を崩さない。今は共感できる。スノの父親が言っていた。「稼げる事務所に行く? お前がいいならいいけど」奥歯に物の挟まったような言い方だった。多分親父も息子の出直しを喜ぶだろう…。人と変わっていることが劣っていることにはならない。自閉症への偏見を打ち破った捉え方がとてもヒューマンでした。

 

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