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特集「別室でミステリーを」

2021年3月31日

特集「別室でミステリーを3」⑧ 
ストリッパー殺人事件(1987年 劇場未公開)

監督 カット・シア・ルーベン

出演 ケイ・レンツ/グレッグ・エヴィガン

シネマ365日 No.3521

ストリップ潜入捜査

特集「別室でミステリーを3」

低評価だったけれど、そうかなあ。面白いと思ったのだけど。製作総指揮がロジャー・コーマンだ。監督のカット・シア・ルーベンは女優で、コーマンの映画に出演していたけれどイマイチ見込みがないと見切り、自分で企画した本作をコーマンに売り込んだ。脚本は当時の夫だ。コーマンが当たらないと思える企画に乗るはずがなく、関係者も予想外のヒットとなった。ルーベン監督は上げ潮に乗り「ボディヒート」「キャリー2」のヒットを飛ばす。1980年代で女性監督を選んだコーマンって、できそうな人間には何でもやらす、さすがB級映画の帝王よ。ストリッパーの惨殺事件に女性刑事コディ(ケイ・レンツ)が潜入捜査する。ルーベン監督は自分で丹念にストリッパーたちをリサーチした。彼女らのパフォーマンスは五輪体操選手顔負けのアクロバットだ。監督はそこを丁寧に描き込み、ストリッパーたちのアーティスティックなステージが迫力満点だ。出演したのは本物のストリッパーたち。監督は素人の彼女らに合宿して演技を指導した▼ストリッパーたちに魔の手が伸びる。エンジェルはガソリンをかけられ焼死体で。シナモンは絞殺のうえトラックに縛り付けられ引き回されていた。ロクサーヌはエンジェルと恋人同士。一緒に暮らそうと話し合っていた。仲間たちは恋人を失ったロクサーヌに対し「同性愛? それ以上よ。永遠の愛よ」とコディに答える。楽屋には変わった人物が出入りする。いつも左手をポケットに入れている通称「ポケット」は容疑者に挙げられるが、刑事が彼を追い詰めると左手がない。「戦争でなくなった。アレも一緒に。女とはできないんだ」とポケットはやるせなさそうに言う。容疑者除外。ストリッパーたちの来歴は、ダズル「暴行容疑。バーで女を叩きのめした」ロクサーヌ「家出娘。父親はDV男」。過去に問題を抱えている女たちばかりだ。コディはストリッパーの世界の情念と、ダンスとパフォーマンスへの情熱に引き込まれ、彼女の舞台はいつしか迫真的になる。潜入捜査は了解したがトップレスになれとは言っていない、捜査は中止して引き上げてこいという上司を無視して「私は残ります」▼犯人はロクサーヌの弟エリックだ。父親の暴力被害に「いつも一緒だ」と姉弟は寄り添って耐えてきたが、その姉がエンジェルと恋仲になり、同棲するという。弟は嫉妬でエンジェルを殺し、シナモンを殺したのはロクサーヌが彼女に浮気したからだ。狂ったエリックは刑事の発砲を受けて死ぬ。実に簡単な筋書きでこれといった謎はないのだが、87分の尺でテキパキと片付ける職人技がいい。コングラがっていればいいってものじゃないのだ。コディがストリッパーたちに肩入れし、理解を深めていくプロセスも過剰なフェミニズムにならず、あっさり加減がいい。ストリッパーたちが「彼女はダンスが下手だ。あんなストリッパーと一緒にしないで」とマネージャーにねじ込むのも、傲慢には聞こえない。仕事へのこれくらいの誇りがなくてどうする。

 

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