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特集「花咲き満ちる4月のベストコレクション」

2021年4月21日

特集「花咲き満ちる4月のベストコレクション」⑧
グッバイ、リチャード(上)(2020年 ヒューマン映画)

監督 ウェイン・ロバーツ

出演 ジョニー・デップ/ローズマリー・デウィット/ダニー・ヒューストン

シネマ365日 No.3542

大事にしてもらえよ

特集「花咲き満ちる4月のベストコレクション」

ニューイングランドの名門大学で英文学を教える終身教授、リチャード(ジョニー・デップ)に余命半年のガン宣告。残る人生にどう対処したか、がほぼジョニデの独り語りで展開します。余命を打ち明けよるより先に、娘オリヴィアが同性愛を告白。「なんだ、よくない話かと思った」胸をなでおろす父。「冗談きついわ。あなたはそんなンじゃない。一時的なものよ」という母の言葉に、自分を否定されたと食卓を去る娘。対応が冷たいと夫が批判すると、アタマにきた妻はなりゆきで不倫を打ち明ける。「相手はヘンリー・ライト」「学長の? 趣味が悪すぎる。あんなタマ無し野郎とは」「彼、タマは3つあるの」「タマじゃなくて腫瘍じゃないのか。あの男はとっくに価値を失っている」「あなたってクソ野郎ね」リチャードは病気のことを言えないまま家族はねじれてしまった▼翌日大学で学生の前に立ったリチャードは「今までと講義のやり方を変える。俺の講義に興味のない者は出て行ってくれ。喜びのために本を読んだことのない人も。公務員、政治家志望、スウェットパンツを履いている人も同じく。単位は自動的にCをやる。残った君らは過去の偉大な人から学びたいわけだね。今学期君らが読む本は1冊だけ。読んだら皆の前で重要性を説いてもらう。できたらB。新たな視点があればA。フェミニスト擁護のプロパガンダはダメだ。女性の苦境なんか聞きたくない」。同じ大学の親友ピーターに事実を打ち明ける。「研究休暇を取る。こんな場所で死にたくない。遠くへ行く。鎮静剤で時を待つ」。妻には「いい夫を演じてきたが終わりだ。この悲劇的な結婚と向き合う時が来た。お互い、好きな相手とやろう。ただ娘への影響を最小限に抑えるためおおっぴらにはやるな」「あなたのアレ、まだ機能するの?」「さあ」▼大学の庭で車座に座りながらリチャード「存在するだけでなく生きるのだ。正面からブチ当たれ。私が目指すのは人生を豊かにすることだ。生きるための英知を君たちから引き出したい。我々は一瞬ごとに人生の物語を紡いでいる。有意義な、せめて面白いものにしてくれ。続きはバーでやろう」。バーに繰り出すとリチャードはウェイトレスとトイレでセックス。教授室に来た男子学生が「僕とフェラを」と頼むと快く応じる。両親の長年の不仲を知る娘は「パパ、なんで離婚しないの」「年をとると責任をなすりつける相手がいるからさ。テイラー(娘のパートナー)とはうまく行っているのか? 愛しているのかね」「うん」「パパも嬉しいよ。弄ばれていないな? 大事にしてもらえよ」。ピーターは親友を失うことに耐えられない。「行かないでくれ」「ここで死んでも死体に虫が湧くだけだ。いなくなれば俺の死体が発見されるまで給料はもらえる」。リチャードは学生のクレアにも「ガン」だと打ち明け「秘密にしてくれ。ピーターと君しか知らん。妻と娘にも言っていない」。悲劇には違いないのですが、リチャードは「ここだけの話」と言って結局は秘密を小出しにしていく井戸端会議みたいなことをしています。プロセスの移行をセリフに頼っていることが本作に凡庸な印象を与え、それが最後まで尾を引きます。娘に示した男親のさりげないやさしさなんか、ジョニデの雰囲気によくあっていたのに、残念なことに後半その繊細さを説明的なセリフが薄めています。

 

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