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特集「B級映画に愛をこめて」

2021年4月27日

特集「B級映画に愛を込めて17」③
昨日消えた男 (1964年 ミステリー映画)

監督 森一生

出演 市川雷蔵/宇津井健/三島雅夫/藤村志保

シネマ365日 No.3548

雷蔵のびのび

特集「B級映画に愛を込めて17」

メアリー・セレスト号をモチーフにした幽霊船・龍神丸と、4人の船乗り連続殺人事件が軸になっています。八代将軍吉宗(市川雷蔵)は、暇を持て余し、南町奉行・大岡越前(三島雅夫)に頼んで彼の部下の同心になりすまし、庶民の実情視察という名目で何か事件を担当したいと頼む。越前は困るが、解明済みの事件をもっともらしくお膳立てするよう部下に指示、自分は「忠公」という十手持ちとなり、吉宗を警護する。同心の黒の羽織に着流し、十手を手に機嫌のいい上様が「幽霊船」を調べに入った船乗りたちが陸に上がったのち、次々殺される怪事件に興味を持ち本腰を入れて再調査。幕府転覆を企てる浪人集団と、彼らの武器・火薬を売って巨万の利を稼ぐ廻船問屋が浮上する。同心・鯖江新之助と名を改めた吉宗は、寺小屋を開く浪人・大橋兼四郎(宇津井健)と知り合い、彼の長屋に居候する▼居酒屋・碇屋を営むお浪は龍神丸の船乗りである兄清吉が殺され、捜査が行き詰っているお上への不満を鯖江や大橋に訴える。当時幕府は禁裏との関係がギクシャクし政治の協力体制がとれていなかった。鯖江は庶民の不満をじかに受け止めることになる。浪人たちに誘拐された兼四郎やお浪を救出するため、廻船問屋の倉庫に忍び込んだ鯖江は兼四郎とともに血路を開いて脱出しようとした時、隠された弾薬が大爆発を起こす。勅使登城を目前に将軍不在。切腹を覚悟した大岡越前の前にススだらけになった吉宗が走り込んで来る。礼装に威儀を正した吉宗が迎えた勅使・五条大納言兼広卿は兼四郎だった、という顛末。ミステリーというほどのミステリーではないのですが、雷蔵の「陽」の部分がよく出たエンタメです。本作の撮影中、正午になった。雷蔵は「昼飯」と一言、同心の黒の羽織を脱ぎ捨てタタタ、セットを飛び出す。その逃げ足の速さに森一生監督「あ…じゃ、ここまで。休憩にしよう」。スタジオの外では雷さま出待ちのファンの前を疾風のように駆け抜ける。あまりの速足に誰も追いかけようとしなかったそう▼そんな雷蔵の一面が、本作を嫌味のないコメディにしています。事件の再調査など、賄賂が足りない催促だと踏んだ海鮮問屋が、小判を包んだ「お茶菓子」を出す。パクッと噛み付いた上様は「硬い菓子だな」とつぶやき、二度三度顔をヒン曲げてかじり「歯が折れそうだ」と下に置く。最後まで賄賂の小判だとはわからない。「新・忍びの者」で徳川家康、「若親分乗り込む」の海軍少佐で共演した三島雅夫。雷蔵お気に入りの藤村志保らが脇を固め、監督がツーカーの森一生、まるで雷さまチームときて、雷蔵がのびのびしています。後味の良さでオススメ。

 

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