女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「B級映画に愛をこめて」

2021年4月28日

特集「B級映画に愛を込めて17」④
ブラインドマンその調律は暗殺の調べ (2013年 犯罪映画)

監督 ザヴィエ・バリュ

出演 ランベール・ウィルソン/ジャック・ガンブラン

シネマ365日 No.3549

盲目のヒットマン

特集「B級映画に愛を込めて17」

ランベール・ウィルソン主役ということで期待しました。脇役だったけど「ダイヤモンド・ラッシュ」で味のある刑事をやっていて印象に残っていました。その後「ホロウ・クラウン/嘆きの王冠」のシャルル6世、「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」では翻訳者を地下室に閉じ込め翻訳させる出版社の社長。で、本作は盲目のピアノ調律師。ランベール・ウィルソンの罪ではないけど、作品が大味というか、大雑把というか、こんな暗殺者ならとっくに逮捕されているはずなのに、捜査に当たった刑事ラサール(ジャック・ガンブラン)が妻を亡くしたトラウマ(車の事故で死に彼が運転していた)でドロップアウト、自殺願望にはまるヨレヨレの刑事ときて、意味もなく物語は大仰になってしまった▼雨の夜、文化コンサルタントである若い女性イザベルが高級マンションで惨殺された。絞殺された後天井から吊り下げられ、遺体はノコギリでバラバラに。数日後富豪が仕掛けられていた車爆弾で爆死。ラサールは2件の殺人事件の犯人を、イザベルの自宅でピアノを調律した盲目の調律師ナルヴィク(ランベール・ウィルソン)だと直感する。一足飛びに犯人が浮上する。このへんが物足りないのよ。部下のエロイーズにナルヴィクの過去を洗わせると本名はアンドレ。18歳で入隊特殊部隊に15年在籍。4年前アフガンで負傷して失明し、国防省は彼に死亡していたナルヴィクのIDを与えた。失明してわずか4年で複雑な吊り下げや爆破装置の仕掛けができるのだろうか。特殊部隊だからアリということにしよう。そこで第3の殺人。路上でナルヴィクが襲われ、逆襲した彼はげんこつで顔面殴打。殴り殺してしまう。相手は退役軍人だった。強そうだった。でも撲殺されるのね。ナルヴィクの拳が無駄なく顔面にヒットするのも神業▼殺された3人は軍に関係ある人物たちで、情報交換、武器密輸などに携わっていた。ナルヴィクに暗殺の指示を与えているのは彼の元上司である軍の大佐だ。ラサールはナルヴィクを操っているのは大佐だと突き止める。ナルヴィクは失明したけれど国に尽くすため、大佐の命令でテロリストを殺しているとラサールに話す。彼は忠実な兵士なのよ。それを利用して大佐は戦場での自分のミスをもみ消し、ナルヴィクをテロに仕立てて自分の共犯者たちを殺させていた。裏切りを知ったナルヴィクが大佐の元に到着すると証拠隠滅の真っ最中。ナルヴィクを殺そうとするがラサールの助けを得てナルヴィクが逆に大佐を射殺。服役を拒否し「もし生き延びたいのなら私が撃つのを阻止しろ」と銃をラサールに向ける。ラサールはナルヴィクを射殺するが彼の銃には銃弾が入っていなかった。生きる気力もなくし、死にたかったわけね。ラサールは彼を愛してくれる部下のエロイーズと人生再出発を目指す、というハッピーエンドで幕。ラサールという刑事が最初ウジウジと死にたがるばかりの冴えないダメンズで、エロイーズが捜査の実務をテキパキ補助するのだけど、礼も言わねば感謝もせず褒めことばもなし。それでもエロイーズは彼が好きで尽くす。顔に「悲哀」と書いてあるジコチュー男ってそんなに魅力的? というわけでこの映画、どうにも物語のピントがおかしくて魅力半減。生きる目標を失い、死だけを救いとしたナルヴィクの悲しみだけで保つ映画。

 

あなたにオススメ