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特集「偏愛力」

2021年5月28日

特集「偏愛力10」⑥
レフトー恐怖物件—(上)(2020年 劇場未公開)

監督 デヴィッド・コープ

出演 ケヴィン・ベーコン/アマンダ・セイフライド

シネマ365日 No.3579

悪魔の建てた家

低評価で劇場未公開だったけど、切って捨てるのは「ちょっと待って」と言いたいものがあるのよね。主演ふたり、ケヴィン・ベーコンとアマンダ・セイフライドの好演のためだと思うけど。人気女優スザンナ(アマンダ・セイフライド)は夫テオ(ケヴィン・ベーコン)との間に一人娘エラを授かった。娘が聞く。「ママと結婚する前、パパは結婚していたでしょ」「そうよ。相手の名前はキャロライン」「死んだのでしょ」「問題は死に方なの。お風呂で溺れたの。眠っていて立てなかったの。大人は薬で深い眠りに落ちる時があるのよ。でも警察はパパのせいだと」「殺したの?」「まさか。殺していないと言っても疑われたの。有名な銀行家の裁判は注目され、テレビに顔が出てパパは有名になってしまったの。判事も陪審も無罪だと認めたけど、世間は違った。起訴されたのだから、潔白なはずはないと」▼以来、テオは人目を憚り、妻とも意思疎通がうまくできなくなった。夫婦はやり直そうと田舎の一軒家を借りた。テオが買い物に行くと雑貨屋の親父は「ステットシールには会ったか」と妙なことを訊き三角定規を渡し「プレゼントだ。直角に使え」。意味がわからないテオが店を出ると中年の女性が車の前に立ち「丘の上の家に? ステットシールを見た?」同じことを訊く。「いいや」「向こうはあなたを見ているよ」ミステリアスな出だしがいいね。家は長い廊下。本棚の裏に隠し階段があり地下は入り組んだ通路が迷宮のように走っている。テオは悪夢にうなされる。人の気配がするのに誰もいない。「この家が好きか」と妻に訊く。「あなたは?」「嫌いだ」。引きこもりがちになったテオは妻がケータイを2台もち、庭で会話しているのを目にする。浮気だ、ちくしょう。いつの間にか机の上のテオの日記には「すぐに去れ」と乱暴な殴り書きがあった。テオは妻と喧嘩する。「元はといえば君のせいだ。出て行け」▼庭に出たテオは外壁を見てふと気がつく。図ってみると「この家は外より中の方が1・5メートル長い」(ありうる?)。例の三角定規を床に当てると、壁に傾斜がある。娘が家の中に見当たらない。エラは妙に広い家の中を歩いているうちに、浴槽に浸かった髪の長い女に出会った。男が現れエラに「なんて純真な顔だ。パパは幸せだ。ずっと一緒にいたいだろ?」と話しかけた。不安なテオは家のことで雑貨屋の親父を訪ねる。「あの家は、前は別の家が建っていた。その前は塔があった。言い伝えでは悪魔が魂を集めるため建てたとか。それを神が壊し、悪魔はまた建て直したそうだ。家の借り手は多いが、立ち去らない者もいる」テオは娘を連れて家を出ることにした。真夜中だ。娘を抱き、凍えそうな道を歩き一軒の灯りに元気付けられて辿り着くと、元いた家だった。中に入るのを嫌がる娘に「明日はママが帰ってくる。今夜だけだよ」となだめた。「ママはもともとパパには勿体ない人でね。パパは若い頃なんでも手に入れた。それで本当の自分を見失った」娘にわかったかどうか。テオの前に男が現れた。「お前は俺だ。ずっと待っていた」さまようごとくテオは家の中を歩いている。廊下また廊下。自分の部屋に辿り着くと、ほかならぬテオ自身が日記に「すぐに去れ」と書いているのを見た。

 

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