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特集「偏愛力」

2021年5月30日

特集「偏愛力10」⑧
ナインスゲート(2000年 ミステリー、オカルト映画)

監督 ロマン・ポランスキー

出演 ジョニー・デップ/レナ・オリン/エマニュエル・セニエ

シネマ365日 No.3581

悪魔からの招き

「影の王国への9つの門」とは悪魔を呼び出す手引書。著者トルキアは異端審問で火刑になり、蔵書も一緒に焼かれたが3冊だけ現存する。うち1冊を所有した出版社社長、バルカンは稀覯本を発掘しては高額に売りつけるコルソ(ジョニー・デップ)に「どれが本物か知りたい。他の2冊を探し出して比べてくれ」と頼む。所有者はポルトガルとパリにいる。コルソは現地に飛んで本の所有者を当たるが、3人とも死ぬ。最初の持ち主テルファーは自殺、ポルトガルのファルガスは池で溺死、パリのケスラー女史は絞殺だった。忌まわしい本だ。謎の女グリーンアイズ(エマニュエル・セリエ)や、テルファーの未亡人、大富豪の男爵夫人リアナ(レナ・オリン)が事件に絡まる▼コルソは3冊の本を精査し、みな本物だが挿入された版画に違いがあることを発見する。1版につき3点、計9点の版画を揃えると「悪魔を呼び出す術」がわかる仕組みになっていると気づく。悪魔に魅了されたのはリアナも一緒だ。ケスナー女史によれば「著者トルキアの死後教義を伝えるため秘密結社“銀の蛇”が結成された。悪魔を崇める魔女の集まりよ。毎年トルキアの命日に集会をやる。今は金持ちが肉欲に耽る社交クラブで、その首謀者が」リアナだ。彼女は夫が売り払った本を買い戻そうとするがバルカンに断られ、かくなる上は残る2人を殺して版画の謎を解き、悪魔の力を我が物にしようとしたが、同じ目的のバルカンに殺された。バルカンは9枚の版画によって「9つの門」から中に入る方法を知ろうとするが、自分の身に火を浴びて焼け死んでしまった。グリーンアイズによると最後の1枚が間違っていたそうだ。それはどこにある? グリーンアイズの指示によってコルソは「悪魔の指示書」を読み解く。彼の前に「9つの門」は開かれ、光雲と共に彼の姿は門の中に消えた…とまあ、そういうお話です。グリーンアイズは瞬間移動して度々コルソの危機を助けます。彼女は悪魔界のリクルート担当で、人間の中から「仲間に入れてもいいやつ」を探していたみたいね▼連続殺人まではミステリーで、以後はオカルトに変調します。ジョニデが稀覯本発掘の探偵をやっている前半は、斜めに構えながらそれなりにシャープなキャラを見せていたのに、映画がオカルトになってから、尻すぼみになりました。ポランスキーは現実から逸脱した女を撮った映画の方が良質よ。「反撥」「ローズマリーの赤ちゃん」「ポランスキーの欲望の館」「赤い航路」「毛皮のヴィーナス」「告白小説、その結末」。みなよかった。「妄想と悪魔の存在」がふんだんに入り混じっています。人はなんでこう、異界の力をあたえる(らしい)悪魔に憧れるでしょうね。「ナイトメア〜血塗られた秘密〜」は自分のものになれば望むままの幸せを与えてやるというデビルに、エヴァ・グリーンが「いわゆる“幸福”を見せびらかせば人間はホイホイものになると考えるお前がバカ、私は私で生きて行く」と一蹴し大呪術合戦になる場面がありましたが、まあこれなんか、悪魔のリクルートに対する答えの1つだったと記憶しています▼対して本作は、主人公が悪魔の門をくぐっちゃうのだから、取り込まれたってことね。ヘタレ男でエンドにしたことが尻すぼみの原因よ。

 

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