女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

家族の修羅場

2021年6月5日

特集「家族の修羅場」⑤
シークレット嵐の夜に(下)(1998年ミステリー映画)

監督 ジョスリン・ムアハウス

出演 ジェシカ・ラング/ミシェル・ファイファー/ジェニファー・ジェイソン・リー/ジェイソン・ロバーツ

シネマ365日 No.3587

希望という光

ジニーと夫はすでにバラバラだった。ジニーのナレーション「どこに行くあてもなかったが去りたかった。ローズとの別れは辛かった。母親のいない姉妹らしく支え合ってきた。半年過ぎてローズに居所を知らせた。返事が来たが強くて開けなかった。何通もの手紙が来たが1年後も読む気がしなかった」。ジニーはレストランのウェイトレスをしている。夫が訪ねてきた。「俺の養豚場は破産した。ローズはパパの家に移り女主人として農場を仕切る気だ。ローズは父親の過去をみなにぶちまけたが誰も信じない。家庭の秘密は守られるべきだ。ローズは君をそそのかしたのだ。最後に一言いいたい」「関心ないわ」ジニーは冷たく夫を見捨てた▼姪から店に電話が入った。「ママが入院したの」。とるのもとりあえずジニーは駆けつける。ローズは左の乳房も除去手術を受けていた。ガンは進行していた。ローズの夫は妻とジェスの関係を知り自殺した。苦しい息の下で「娘たちを養女に」と姉に頼む。「もちろんよ」ジニーは遅疑なく引き受けた。「ジェスは病気の私を捨てたわ。農場は姉さんと妹に譲るわ。私たちの代で終わらせたいの。銀行が売却してくれるわ。負債を引いたらたいして残らないけど」。大丈夫かとローズがジニーに訊く。子供の頃から、気性の激しかった妹の方が姉をリードしていた。「あなたなしじゃ…」心細そうな姉に「何か決める時は用心してよ。ジニー、私は無能な女よ。娘の成人を見届けられずジェスを失い、農場経営に失敗してパパの鼻を開かせなかった。パパは正真正銘の農場主だった。それをずっと見てきた。顔を背けずひたすら見続けた。私がなし遂げたのは罪深い父を許さなかったことよ。やってのけたわ。キャロラインには真実を話して」▼翌日の午後ローズは死んだ。ジニーの言葉が続く「ローズは難題を残した。人を傷つけた認識も後悔もない者を我々はどう裁くのか。父は後悔のカケラもなかった。妹に父の話はしなかった。父は翌年心臓発作で死んだ。1000エーカーの農場は農協に売却された。私たち家族の喜びと悲しみを育てた大地に昔の面影はない。だが思い出を私と養女が受け継いだ。年ごとに成長する2人に新しい光を感じる。私たちになかったもの、希望という光だ」。凄惨だった姉妹の過去は傷口を癒せる予感を示して映画は終わります。ミシェル・ファイファーの死期のローズが鬼気迫りました。コリン・ファレルの無職の女たらしの流れ者、欲ボケの強姦魔の父親、義父の農場を当てに事業を拡大したものの見事に破産した夫。ジニーの周りはまるでダメ男の縮図です。みな死んでしまうかドロップアウトだ。家族には人が見る部分とは違う場所にミゾもトゲも刃もある。許すのか、我慢するのか、諦めるのか、他に代償を求めるのか、それぞれが抱えていくしかない。辛い思い出のほうが多いが「希望という光」を信頼するリジーの再出発にエールを送ろう。ジョスリン・ムアハウス監督は家族間、特に母と娘、姉妹の関係をとらえた映画に佳品が多く、本作のほか世代別愛の形を描いた「キルトに綴る愛」、問題を抱えた5人姉妹の「メンタル」(製作)、「リベンジャー 復讐のドレス」などがあります。

 

あなたにオススメ