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家族の修羅場

2021年6月7日

特集「家族の修羅場」⑦
代理人(上)(1994年 劇場未公開)

監督 スティーヴン・ギレンホール

出演 ジェシカ・ラング/ハル・ベリー/サミュエル・L・ジャクソン

シネマ365日 No.3590

何が言いたいの!

生まれたばかりの赤ん坊をゴミだめに捨てた麻薬依存症の母、カイラ(ハル・ベリー)は、数年後更生し、死んだと思っていた赤ん坊イザヤが裕福な白人家庭の養子となり、つつがなく成長していることを知る。引き取ったのはイザヤが搬送された病院のソーシャルワーカー、マーガレット(ジェシカ・ラング)だ。白人が黒人の赤ん坊を養育することに夫チャールズも娘ハンナも戸惑ったが、マーガレットの強い希望と愛情に賛同し正式に養子縁組を申請、家族ぐるみイザヤを受け入れる。カイラは腕ききと言われる弁護士、ルイス(サミュエル・L・ジャクソン)を訪ね、親権を取り戻したいと訴え法廷で争うことになる。マーガレット夫婦は、麻薬に溺れて子供を捨てた女に親権を持つ資格はあるのかと自分側の弁護士に訊きますが、彼女は「それを証明しないと。黒人の私が弁護してもかなり難しいケース」と難色を示します。ルイス弁護士は「黒人の子は黒人の母親のものだ。それをハッキリさせたい。身辺を整理して、子供を引き取れる独立した部屋に住め」とアドバイスします。マーガレットは「あの子を失うなんて耐えられない。生まれたばかりの赤ん坊を真冬に捨てたのよ」「失わないよ」。イザヤを愛する夫は妻を励ますのですが、ルイスはじわじわと外堀から埋めていきます。審理の席上夫チャールズに「最後に有色人種と食事したのはいつ?」「覚えていません」「結婚して14年ですね。イザヤを育てるには理想的な家庭だ。奥さんを愛していますか」「もちろん」「スザンナって誰ですか」チャールズは詰まり「わが社の建築技師です」「彼女と関係を? 偽証罪は罪ですよ。関係をもったことは?」「一夜だけ共にしました」審理と関係ない指摘ですがマーガレットは明らかに動揺します。ルイスの狙いはマーガレットの戦意喪失です。休廷中、トイレで出会ったマーガレットとカイラ。「旦那に浮気させておいて人の子を取るの? 私はあの子の母よ。鏡を見ればわかる」。「取ったのじゃない、捨ててあったから拾ったのよ。産むだけなら動物でもする。法廷に来れば子供をもらえると思った?」「私の赤ん坊は犬の子とは違う。渡してたまるものですか。イザヤと私は同じ人種よ。知らなかった?」マーガレット沈黙。女性弁護士はカイヤ側の証人に質問する「あなたは異人種間の養子縁組に反対ですね。黒人を白人に斡旋した例は皆無ですか」「よくありますが適切な黒人家庭が現れるまで、一時的な措置です」「期間は?」「数年間」「その後子供たちは肌の色が同じという理由で見知らぬ家庭に引き渡されるのですね」「長い目で見ればその子のためです」「子供の情緒面より政治問題が優先なのですか」「いいえ、条件が同じなら黒人同士の方がうまくいくのです」「条件が同じでなければ?」「その態度はウンザリです。貧しい黒人の子を悪環境から救い、裕福な家庭に引き取れば幸せなのでしょうか」と白人の上から目線に嫌悪を示す。マーガレットが証人席に座った。ルイスが質問する。「イザヤに人形遊びをさせますか」「はい」「黒い人形はありますか」「はい。紫も黄色もオレンジもあります」「オレンジや紫の肌の人間はいませんね。イザヤに黒人に関する本を読んであげていますか」「あらゆる本を」「でも黒人は出てきます? 例えばヴァージニア・ハミルトンの『ジュニア・ブラウンの惑星』は?」「いいえ」「ではイザヤは自分をどう位置付けているのでしょうか。オレンジ色のマペット? 同じ肌の色の人間がいない世界で育つには問題があるのでは?」。「何が言いたいの!」マーガレットが怒りに燃えて発言した。

 

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