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特集「しっとりと水無月やよし6月のベストコレクション」

2021年6月11日

特集「しっとりと水無月やよし6月のベストコレクション」③
ストックホルム・ケース(2020年 事実に基づく映画)

監督 ロバード・バドロー

出演 イーサン・ホーク/ノオミ・ラパス/マーク・ストロング

シネマ365日 No.3594

なぜ訊く?

特集「しっとりと水無月やよし6月のベストコレクション」

人質と犯人の間に連帯感が生じ、犯人に好意を持つようになる「ストックホルム症候群」は、1973年スウェーデン、ストックホルムで起こった銀行強盗事件に起因する…と。プロデューサーにジェイソン・ブラムが噛んでいます。低予算で高品質のホラーを作ることに定評がある。「パージ」「セッション」(ホラーではありませんが)「ザ・ギフト」「スプリット」「ゲット・アウト」「マー、サイコパスの狂気の地下室」「透明人間」「レフト〜恐怖物件〜」など。当たり外れがありません。盟友イーサン・ホークと組んだ本作も、ノオミ・ラパスの共演も、ファンの食指を動かせた要素と思えます▼イーサン・ホークが演じるのは、どこか人のいい銀行強盗ラースです。銀行に押し入った、人質を取る、友だちのグンナー(マーク・ストロング)を刑務所から出せと要求する。人質3人をそばに置く。1人がビアンカ(ノオミ・ラパス)、他にクララという女子行員とオロフという男(たまたま在庫室に隠れていた)だ。現金100万ドルと逃走用の車を用意しろと警察に要求する。車種はムスタング。理由は「ブリット」でスティーブ・マックィーンの運転した車だから。グンナーは警察署等からラースを説得するよう因果を含められているが、積極的に動かない。クララがストレスで生理が早まった、タンポンと食べ物とタバコを持ってこい。署長は「男2人だけなら逃走してよい、その代わり人質は自由にしろ」。冗談じゃない。追跡装置のついた車でたちまち御用だ。ラースは人質共々逃走することに固執する。5人はテーブルを囲み、ナシを切って一口ずつ食べる。人質たちは次第に緊張が解け、笑顔を見せるようになる▼ビアンカはラースたちと一緒に逃亡させてくれと首相に電話で頼む。危険ではあるが銃撃戦となればもっと危険だ、必ず死人が出ると説得するが拒否。人質たちは政府にも警察にも「見放された」と孤立し、しかも全員金庫室に閉じ込められ、室内の温度を急激にあげる、そして下げる、異常な高温と低温の繰り返しで拷問同様。疲労困憊する。警察の無慈悲な仕打ちに、人質たちは苦楽を共にしているラースらとよけい団結する。警察は催涙ガスを噴出させ結果的に全員投降となる。人質たちは射殺の恐れがあるラースを真ん中に囲み、ひとかたまりになって外に出ていく。「いくぞ、いいな」と声をかけられたクララは「うん」と笑顔で返事しているではないか。ラースが無慈悲でないこと、決して人を殺せないこと、強盗などやってカッコつけているが、フランスに逃亡して巻き上げた金で人生をやり直したいと考えている真面目人間(?)であることなどがわかってくる。いや、わからせてくるイーサン・ホークがいい。ビアンは人質という緊張と刺激の中でラースと関係するのだが、ノオミ・ラパスが甘い顔を見せずラースに身をまかせる心の動きがごく自然だった▼ラースは刑務所にいる。ビアンカが面会に行く。「なぜ来た」と男は驚く。やさしい夫と娘、息子に囲まれ幸福な家庭にいるビアンカだ。「ここを出たらどうするの?」「なぜ訊く? スウェーデンを出る。グンナーは自由の身になった。代わりに俺が刑務所だ」と男は笑う。「なぜ訊く」が効いている。男も女同様「あの出来事が忘れられない」ことをわからせるラストでした。

 

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