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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2021年7月11日

特集「映画に見るゲイ14」329
バッド・ガール (2012年 ゲイ映画)

監督 オーシティン・チック

出演 ダニエル・パナベイカー/ニコル・ラリベルテ

シネマ365日 No.3624

「殺そうか?」

特集「映画に見るゲイ14」

低評価でしたけど、そうクソミソにつまらない内容でもないと思います。主役はレイプされた女子大生シェイ(ダニエル・パナベイカー)ですが、彼女と一緒にリベンジする女の子が、ルー(ニコル・ラリベルテ)。シェイはレイプのショックを訴えたくて、女友だちや母親に電話するが繋がらない。別れた元カレ・テリーの家に行くと、男は慌てて「家族が大事だ、別れる、君ならいい男が見つかるよ」と一方的にバイバイ。彼は35歳。頭もハゲ上がり歳の差ありすぎ。世界から見放されたように落ち込んでいるシェイに、同じバイト先のルーが話しかけた。「男関係? 殺そうか?」。ニコル・ラリベルテはテレビ出演が主で映画はあまりありません。とんがった容貌と視線は癒し系でも安らぎ系でもない。彼女より美人かもしれないが(ポチャ)としているシェイより凄味があり、開口一番「殺そうか」のセリフが効いています▼ルーはシェリをレイプした男とその友だちふたりの住所を突き止め三人とも射殺する。拳銃は警官から奪ったものだ。ホテルに連れ込みベッドに縛り付け、男が恐怖で引きつった後、拳銃を股間に当て発砲。男は死に拳銃だけいただいてきた。テリーの場合、助けてくれと懇願する男に、シェイはためらうがルーは殺してしまう。食後の歯磨きみたいに人を殺すルーに、シェイはとらえどころのない虚無を覚える。ルーの身の上は「5歳の時から父は私を友人に売り、7歳で性病をうつされた。母に全てを知られたが、母は知らないフリをしていただけかも」「なぜ人を嫌って傷つけるの?」「人間は人より強く見せるために他人を傷つける。それに興奮する」。完全にサイコですが、シェイには友情か、それ以上のものを持っている▼シェイに彼氏ができた。DJのタイラーだ。デートの約束をして、ルーからのメールも無視。楽しく過ごして帰宅するとルーが待っていた。夕食を作って4時間も待っていた、相手が誰かくらい教えてくれてもいいでしょ、と低い声で聞く。シェイは背筋が寒くなる。ハロウィンの夜、シェイはタイラーとDJ室にいた。パーティー会場に能の仮面をつけ、日本刀を持った人物が現れタイラーを袈裟懸けに切り下げる。トイレから戻ってきたシェイはタイラーの死体を見つける。そばにはルー。「私たちのためにやった」というルーの下腹をシェイが横一文字に切り裂く。「うまく斬ったね」そして「愛している」と言って血の海に倒れる。ある夜、シェイはメイクしてバイトに出かけ接客をこなす。休憩時間、トイレでタバコをふかしていると女性が泣きながら入ってきた。「男関係?」とシェイが訊く。そうだと答える。後ろの鏡にタバコを吸うルーの幻影が浮かんで消えた▼男にレイプされ、身勝手な不倫男には振られ、それでも善良な恋人と出会ったら彼はサイコ女のルーに殺された。ついていないヒロイン・シェイが、なんとなく「ルー路線」に走りそうな予感を残して映画はエンド。ルーはアンチ・モラル、アンチ・ロマンティック、アンチ・ソサエティの世界にすむ住人であり、彼女がシェイの代わりに復讐するのは、独占欲の変形です。世間には自分の描く幻想の中でしか生きられない人がいる。不幸にしてルーは幻想に別の表現を与えることができないまま、現実の社会に放ってしまいましたが、優柔不断で甘い解決を求めてきたシェイより、物語の主人公としては複雑で魅力的なキャラです。

 

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