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特集 LGBTー映画にみるゲイ

2021年7月14日

特集「映画に見るゲイ14」332
ダブル・サスペクツ(下)(2019年 劇場未公開)

監督 アルノー・デプレシャン

出演 レア・セドゥ/サラ・フォレスティエ/ロシュディ・ゼム

シネマ365日 No.3627

愛の素顔

特集「映画に見るゲイ14」

ダウード署長にクロードが言う。「マリーに会ったおかげで人生、台無しよ」署長「君は美人だ。中学時代はクラスの女王様。恋愛もした。やがて人生の難しさに気づき今は30歳の子持ち。愛していない女と同棲し、昔の人生のバラ色を思う」。マリーに対してはこうだ。「容姿に自信のない女の子。教室の隅にいて何もできない。いつも孤独だ。そしてクロードに会う。彼女は最高の美人だが無情で厳しい。ずっと耐えてきた…もう苦しまなくていい。本当のことを言え」。二人を並べて供述の相違点を照合する。「マリーが枕をかぶせ首をつかんだ。手伝って、一人じゃ無理と言った」。マネキンを床に置き、実際の行動を再現させる。「計画していたのか」「計画したのは盗みで殺しじゃない」。マリーが割って入る「認めてクロード、計画したのよ!」計画性であれば懲役20年、計画したのは盗みで殺しじゃないとクロードはすり抜ける気だ▼署長は「あとは判事と検察に任そう」と言って打ち切る。護送車の中でマリーはチラチラとクロードを見るが、クロードは硬い横顔を見せたまま。「後述は終わったのだから、クロードと一緒に居させて」とマリーは頼んだが、できるはずもなかった。クロードはマリーを敗残の象徴のように扱う。そんな女にマリーは愛の残滓を注ぐ。二人が生きてきたこの街にも心の中にも、人生のやり直しとか再出発など芽生えはしないのだ。男も女も裏切りと犯罪がいつも背中合わせ。かつて二人が囁いた愛は、異邦人が喋る異国の言語のように耳をすり抜けていく。にもかかわらずクロードに未練を持つマリーがやるせない。これも愛だ。男と女とか、男と男とか、女と女とかに関係なく、等しく残酷なのが愛の素顔なのだ▼レア・セドゥは「アデル、ブルーは熱い色」でもアデルの純情を袖にする自分勝手な女を演じています。彼女には「若き人妻の秘密」とか「マリー・アントワネットに別れをつげて」「シモンの空」「あるメイドの秘かな欲望」などいい作品があるのに、代表作に全然パッとしなかったボンドガール(「007スペクター」)が、すぐ挙げられるのはどう考えてもソンですね。サラ・フォレスティエ。容姿に自信のない女の子と言うセリフのせいか、メークでヘンテコになっていますけど元来美人です。トム・テクヴァ監督の「パヒュームある人殺しの物語」、アラン・レネ監督の「風にそよぐ葦」などいい監督のもとで仕事をし、「漆黒の闇で、パリで踊れ」ではロシュディ・ゼムと共演。ゼムは「この愛のために撃て」が忘れられない。引き締まった体が発散する「危険な男」が主役を食っていました。本作の署長役でも彫りの深い、どこか哀愁の漂う男がよく似合っています。

 

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