女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集 LGBTー映画にみるゲイ

2021年7月15日

特集「映画に見るゲイ14」333
愛について、ある土曜日の面会室(上)(2012年 社会派映画)

監督 レナ・フェネール

出演 ファリダ・ラウアッジ/レダ・カテブ/デルフィーヌ・ドルカーロワ/マルク・ラウベ

シネマ365日 No.3628

振り返る愛

特集「映画に見るゲイ14」

後悔によって噛み締める、という側面が愛にはある。金遣いの荒い性悪女だったが、いなくなると一緒にいて楽しかったことばかり思い出す、色も金も仕事もしないクズ男だったが、どこか面白かった、見送って悲しいというより肩の荷が下りた親父だったが、子供の頃は可愛がってくれたっけ…この映画は後悔で綴る愛だ。三組の男女がいる。ステファン(レダ・カテブ)はバイクで血液を運ぶバイトのような仕事をしている。同棲している女エルザは彼の母と犬猿の仲。母親に借金して頭のあがらないステファンにエルザはボロクソ。金のないことがいつも引け目になっているステファンは身元不明の、でも金のありそうな男ピエールのいう、自分にそっくりな受刑中の男、ジョセフと面会時間にすり替わるという提案を大金で引き受ける▼ロールはサッカーの好きな16歳の高校生。バスの中で知り合ったロシアの青年、アレクサンドルと恋仲になるが、彼は警官に暴行し刑務所行き。アルジェリアにいるゾラ(ファリダ・ラウアッジ)の元に、フランスで殺された息子の遺体が届く。真相を知りたいとゾラはフランスに渡り、息子を殺した容疑者の姉、セリーヌ(デルフィーヌ・ドルカーロワ)に近づき、子守として働くようになる。セリーヌの弟フランソワは刑務所にいる。姉は弟を心配するあまり夫や子供への愛もわからなくなっていた。自分がもっと弟の話し相手になってやればよかったと後悔のうちに泣き暮らしている。ゾラはセリーヌに代わり、弟の様子を見に刑務所に行くことにする。ロールは未成年のため家族同伴でないと面会できない。たまたま知り合った医師、アントワンに同伴を引き受けてもらう。ステファンは刑務所で入れ替わるためジョセフとの面会に行く。三組の男女が土曜日の面会室に来た。ステファンは身代わりになって一年、その間ジョセフが安全に国境を越えたらピエールが弁護士に手配して釈放の手続きをする。ステファンはまとまった金を手にして、ボロボロになった女との生活を立て直そうとするが、エリカは一年間待っているか? 手に負えない女だったけれどやはり愛している▼ロールは妊娠していた。しかし嬉しくはなかった。好青年だったアレクサンドルは、同伴してくれている、本来感謝すべきアントワンに雑言を浴びせ、思いやりも知性のかけらもない、醜いクズ男の本性を現した男に、幻滅と後悔しかない。ゾラは息子を殺したフランソワに会った。物静かな青年だった。息子がフランスに行ったあと5年もほったらかしにしていたと後悔を打ち明ける。フランソワは男同士の恋愛のもつれを話す。この告白がナイーブだった。「彼に一人で生きろと言われた。別れようと。彼が廊下の向こうへ出て行く姿を何度も想像した。彼はあの日、隅から隅まで僕が苦しむのを見ていた。僕はすべてを捧げたのにあんな目をして。テーブルにナイフがあった。彼は僕の視線に気づいた。まさかと思っただろう。お願い、僕を責めないで」。ゾラは責めなかった。ただ辛い、捉えようのない、手の届かなくなってしまった愛を振り返るだけだ。

 

あなたにオススメ