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銀河流れる7月のベストコレクション

2021年7月20日

特集「銀河流れる7月のベストコレクション」①
魔女がいっぱい (2020年 ファンタジー映画)

監督 ロバート・ゼメキス

出演 アン・ハサウェイ/オクタヴィア・スペンサー

シネマ365日 No.3633

奇妙な味

特集「銀河流れる7月のベストコレクション」

本作でいう魔女とはこうだ。「子供が大嫌い。狡くて腹黒く、腐りきった女。肘まである長い手袋をはめ、帽子をかぶり声はキイキイ声。魔女の獲物は貧乏で地味な子供。消えても誰も探さないから。国ごとに魔女団があり、集まっては獲物の噂や秘薬の交換をする。一番の目的は大魔女の指示を受けること。大魔女は全能な悪の権化でノルウェーのツンドラ地帯で卵から産まれたとされる。魔女と普通の人の見分け方は、よく見ると口の隅っこが裂けている。魔女が手袋をしているのは、手に鉤爪しかないから。足の指もない。斧で指を切り取ったような足だ。髪がない。ゆで卵みたいにツルツルで始終カツラをかぶり、かぶれて頭がただれている。鼻の穴が大きい。子供の匂いを嗅ぐとき鼻の穴が20センチくらいに広がる。魔女にとって清潔な子は犬の糞並みの悪臭だ」▼大魔女(アン・ハサウェイ)率いる魔女軍団が「国際児童愛護協会」と名乗り、とある高級ホテルで会議を開くことになった。そのホテルに孫を魔女から隔離するため、1人のおばあちゃん(オクタヴィア・スペンサー)が泊まっていた。おばあちゃんは子供の頃、友だちのアリスがニワトリにされ、緑の卵を産むようになったことを知っている。魔女についての知識も豊富だ。でも孫とその友だちふたりはネズミにされてしまう。魔女がこの地に来た目的は、海辺で楽しげに遊ぶ子供達をネズミに変え、踏み潰してしまうためだ。おばあちゃんと孫ネズミたちは、変身させる薬を大魔女から盗み、魔女軍団を全員ネズミに帰るのに成功するが大魔女だけはたまたま薬入りスープを飲まず、生き残った。おばあちゃんと孫ネズミら3人の対決で、大魔女は薬を飲まされネズミに変身、自分の猫に食われてしまう。でもおばあちゃんはネズミから人間に戻す薬を作れなかった。孫ネズミは「いいよ、ネズミのままで。学校に行かなくてもいい、試験もない」2人の友だちもネズミのままで残る方がいいと言った。彼らは仲良く暮らし、孫ネズミは老ネズミとなり、大魔女が残した魔女リストによって、各地にいる魔女退治に活躍する。アン・ハサウェイの口がグワ〜ンと横に広がるとか、巨大な鼻の穴になるとか、ビジュアルの強みを堪能させてくれます▼ただ魔女の解釈に違う切り口の映画が増えてきており、それらに比べると「邪悪の権化100%」と言う魔女キャラが案外物足りない感じがします。原作者のロアルド・ダールはもともと江戸川乱歩の造語による「奇妙な味」のジャンルで評価を得た作家です。本格推理小説からやや外れた位置ですね。だから本作の「子供たちをネズミのままで終わらせる」ラストも、ファンタジーのハッピーな王道とはやや異なる辛口です。魔女あるいは魔女に属するものとしては「イン・マイ・スキン」「ワイルドわたしの中の獣」「ウィッチ」「RAW少女の目覚め」など、女が魔性や獣性によって抑圧から解放される視点を持っています。魔女という女性が実在したのではなく、魔女とされた女性が犠牲になったのが魔女裁判でしたから、そもそも魔女は抑圧と差別の犠牲でした。いつまでもそんなバカらしい解釈のままにさせておけるかい、という元気のいい女性監督たちが、魔女をドラマチックに変容させています。本作の魔女はネズミにして踏み潰すとか、子供を世界中からなくすとか、ファンタジーとは言い切れない後味の悪さがありました。もう少し「奇妙な味」の生かし方はなかったのでしょうか。

 

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