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銀河流れる7月のベストコレクション

2021年7月21日

特集「銀河流れる7月のベストコレクション」②
TENETテネット (2020年 スパイ映画)

監督 クリストファー・ノーラン

出演 ジョン・デヴィッド・ワシントン/ロバート・パティンソン/エリザベス・デビッキ/ケネス・プラナー

シネマ365日 No.3634

遊び心

特集「銀河流れる7月のベストコレクション」

相変わらず複雑な時系軸の転換と映像効果で、ド肝を抜くクリストファー・ノーラン監督。彼の映画は基本的にコミックですから、物語はシンプルなのです。本作では「第3次世界大戦を防ぐ」それだけなのですけど、ちりばめたエピソードがめくるめく壮大さ。過去に逆行する時間と順行する現在進行形。膵臓ガンの末期症状であるロシア人セイター(ケネス・プラナー)は行きがけの駄賃に、過去から現在に遡れる未来人と提携し世界を滅ぼそうという悪人ですが、いったん全滅すれば新しい世界が創造するだろうとも考えています。チンケな悪人でないことは確かですが、冗談ではない、現在この世界に住んでいる人類を道連れにされてはかなわんと立ち上がる主人公が“名もなき男”と呼ばれるジョン・デヴィッド・ワシントン(デンゼル・ワシントンの息子)。彼を助けるパートナー、ニール(ロバート・パティンソン)、セイターの妻キャサリン(キャット=エリザベス・デビッキ)らが脇を固めます▼主人公はセイターに接触し、ウクライナが管理している9つのアルゴリズムの1つであるプルトニウム241の強奪を計画しているとセイターに話し信用させる。主人公はプルトニウム奪取に成功したが、セイターの邪魔が入り現場は逆行と順行が交錯してパニック状態。キャットが人質に取られプルトニウム241は奪われてしまう。重傷のキャットの傷を治すには1週間、時間を逆行する必要がある。そこでオスロ空港にある回転ドアを利用することにした。途中主人公もまた負傷し、キャットと共にオスロ空港に運ばれる。アルゴリズムが保管されている場所はセイターのアジト、スタルスク12だとわかる。主戦場はスタルスク。ニール率いる青チーム(過去から逆行してきた)と赤チーム(現在の順行部隊)が挟撃しなんとか保管場所にたどり着くが、そこではセイターの部下が地下への入り口に爆破トラップを仕掛けていた。目撃したニールはセイターたちが使っているスタルスク12にある回転ドアを使うことを考える▼アルゴリズムを確保し、任務を終えたニールは自分の雇い主は“名もなき男”つまり主人公であることを明かし元の組織に戻ります。彼は自分の正体を最後まで明かさず、主人公が危機に陥った時は必ず助けます。ロバート・パティンソンがミステリアスな存在で役得でした。時系列が頻繁に入れ替わるのが面倒くさく、途中でどうでもよくなりそうでしたが、めくるめくビジュアルに引き込まれ最後までのめり込ませるのがノーラン監督。ケネス・プラナーはロシア語なまりの英語を使いこなし、無慈悲でエゴイスティックな悪役を完投。紅一点のキャットことエリザベス・デビッキが、夫役であるケネス・ブラナーにいじめられ通しで割り損でしたが、190センチのプロポーションはどのシーンでも目立ちます。「ロスト・マネー偽りの報酬」の彼女を見たノーラン監督が、本作への出演を猛烈にプッシュしたそうです▼主義、信条、原則という意味の「TENET」は、本作では主人公が人類を滅亡から救うために過去と現在から敵を挟撃する作戦のコードネームとして使われます。「黄昏に生きる」「宵に友なし」という合言葉も深い意味はないと思えますが、ロバート・パティンソンの出世作「トワイライト」へのオマージという説もあり。だいたい「名もなき男」というのがふるっています。名前があって特定化されない、つまり個々の人間ではない全体的存在。人類を救う神たる者か。ノーラン監督らしいカッコつけたというか、コミック的というか、遊び心のあるネーミングでした。

 

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