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特集「最高のビッチ」

2021年8月11日

特集「最高のビッチ14」⑪レスリー・マンヴィル2
ファントム・スレッド(下)(2018年 恋愛映画)

監督 ポール・トーマス・アンダーソン

出演 ダニエル・デイ=ルイス/レスリー・マンヴィル

シネマ365日 No.3655

愛情物語です

特集「最高のビッチ14」

レイノルズは七転八倒。シリルは医者を呼ぼうとするがアルマは「レイノルズが嫌がる」と反対。医者が診たら毒キノコがばれてしまう。一睡もせず看病し翌朝レイノルズは快方に向かった。しかし大問題が発生。レイノルズが昨日フラフラして倒れこんだはずみに、仕上がっていた王女のドレスが損傷したのだ。複雑なレースの衣装は敗れ、あちこちにシミが。レイノルズは死人のような顔でアトリエに降りようとするが足腰立たない。やり直し。シリル以下工房の縫い子たちは全員徹夜である。朝9時までに仕上げてベルギーに送らねば。ドレスは完成した。感極まったレイノルズ「アルマ、君なしにはいられない。僕を守ってほしい。結婚してくれるか」独身主義者は白旗を上げたのであります▼アルマは本来の若さで活動を始めた。パーティーに行きたい、大晦日のカウントダウンをしたい、踊りたい。「私は家にいて仕事をする」とレイノルズ。アルマさっさと出かける。レイノルズが姉シリルに打ち明けている。「大きな過ちを犯した。仕事に集中できない。結婚したことで悪い影響が出てしまった。ここには静かな死の匂いがただよう」。レイノルズ、まるでハムレットになってしまう。姉に嘆いている言葉をアルマは聞いてしまった。彼女は夕食を作っている。キノコ料理である。独白。「あなたは無力で倒れていてほしい。素直でやさしく、助けるのは私だけ。死にはしない。少しおとなしくするだけ。そしてまた強さが戻る」。キッチンで甲斐甲斐しく料理する妻をレイノルズが注意深く見ている。運ばれた皿を見てこう言うのだ。「倒れる前にキスしてくれ。事によるとあの医者に電話すべきかも」レイノルズはレイノルズでアルマの戦略がわかっているのだ。「呼んでもいいけど、私を信じないの? 私が元気にしてあげるわ。必ず」「愛している」「私も」。そして前回どおり苦しみます。アルマがやってきた医者に語るには「彼は安らぐ聖なる地で私を待っている。この世、次の世、そのまた次の世。そこへ続く道に何があろうと私はひたすら彼の元に。彼に恋することで人生は謎でなくなったのよ。時々あなたとの将来を考えるの。そして終わりを夢想する。未来が見える。問題はすべて解決。資する人や子供たちが戻り、大勢が集まり楽しそうだ。私は歳を重ね違う見方ができ、やっとあなたを理解する。私がドレスを管理する。埃や亡霊や時の流れから守り抜くの」「だが今はここにいる」という声がする。レイノルズがアルマの膝枕で横になっている。「ええ、そうよ」と答えるアルマに「腹が減ってきた」目を閉じたまま旦那は言う▼気難しい、エゴイストの亭主が手に負えなくなったら毒キノコ食べさせておとなしくさせる。妻どころじゃない、家庭どころじゃない、仕事一途の亭主も時には休戦が必要だから従順に従う。結局は翼を休める大樹があって安心する男の話? ではないでしょ。毒キノコ作戦とは、愛とはアイデンティティを認め合うことだ、そう信じるアルマが打ってでた一場の劇です。たいした女性です。レイノルズの姉シリルも義妹のアルマを気にいっていて、環境をかき乱されおののく弟に「アルマを出て行かせたい?」「いや、なぜ」「私は彼女を好きよ。私と口論するならあなたを絶対に打ちのめす。わかった?」弟沈黙。誇り高く、異常に感性が繊細な暴君みたいなレイノルズですが全く邪気がなく、アルマはどこか可愛いと思っています。ドレス作りは天才であっても一種の仕事バカで世間を知らない夫や弟を、しっかり者の妻と姉が手綱を握って守っている愛情物語です。

 

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