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特集「ナンセンスは素敵だ」

2021年8月27日

特集「ナンセンスは素敵だ7」⑦
PATRICKパトリック(1978年 劇場未公開)

監督 リチャード・フランクリン

出演 スーザン・ペンハリゴン/ロバート・ヘルプマン

シネマ365日 No.3671

無敵の念動力

不倫中の母親を殺したショックで植物人間となった青年パトリックが病院に収容されています。婦長は「彼は死人同然の厄介者。誰か機械を切る勇気があれば解決するのだけど」と新採用した看護師キャシー(スーザン・ペンハリゴン)にぼやく。なぜ生かしておくのかというと院長は「どの時点で生命を生かしているものが肉体を離れるか、生死の領域の研究だ」。キャシーにはよくわからんが、看護しているうちパトリックにサイコキネシス(触らずに物体を動かす能力)のあることを発見する。自分の意思と無関係にタイプライターが動き文字を打ち込んだり、キャシーに気のあるブライアン医師がプールで溺れかけたりする。夫のエドとは別居状態だが、復縁を懇願している彼はエレベーターに閉じ込められる。パトリックを死なせようとして病院の電源を切りかけた婦長は顔が溶けるような大火傷の挙句死ぬ▼1年前、パトリックを担当した看護師のボーイフレンドは原因不明の病気で死亡した。キャシーのタイプライターが勝手に動きこんな文字が現れた。「ママへ。エドは両手を火傷したが当然の報いだ。彼を閉じ込め宙吊りにして体液で煮込んでやる」「ママって誰? 私のママは小さい頃死んだわ」。パトリックは強度のマザコンで、母親を奪おうとした男を殺し、母親も殺してしまった。好意を持つ看護師に近づく男たちも憎悪の的だ。自分を排除しようという婦長も生かしておけない。彼の念力は桁外れで、遠くから遠隔操作できる。ベッドに横たわったまま人工呼吸で息をし、ツバを吐くペッという音で、キャシーと対話するようになる。イエスなら1回、ノーなら2回「ペッ」をやる。ブライアン医師は「5感を失った代わりに第6感のようなものが発達したのだろう」というが、男性自身だけはちゃんと勃起し「パトリックは手で慰めてくれるのを待っている」とタイプしたりするから、かなり都合のいい昏睡状態なのである▼「生死の領域」を見届けようとする院長がパトリックの生命維持装置を外そうとすると全身が金縛りにあい、病室の花の鉢がぶっ飛んできて院長の頭を直撃する。恐ろしくなった院長は自室に引っ込み、実験に使うカエルを解剖してパリパリ骨ごと食べるなど、錯乱を呈する。パトリックがキャシーに求愛する。「君を愛している」キャシーにしたら(えらいこっちゃ)。「あなたは利己的で尊大な、自分勝手なガキよ」パトリックはショック。院長が落としていった塩化カリウムの注射器があることをキャシーに教え「僕はもう行くよ。僕と一緒に来るのだ」。病院の異変を知った警察がパトリックの部屋の踏み込むと、キャシーが塩化カリウムを自分の腕に注入しかけていた。はたきおとした途端、エドを監禁中のエレベーターは動き出し脱出、火傷も治っていた。正気に戻った院長がパトリックの症状を診て「死んでいる」。キャシーはパトリックの両目を閉じてやる。一同が病室を後にしてしばらく、パトリックはやおら目を開いたのだ▼いくら無敵のサイコキネシスでも、ちょっとやりすぎじゃないでしょうか。院長も科学者らしくない。ヒロイン、キャシーがただひとり、パトリックを人間扱いするものの「利己的で尊大なガキ」と一刀両断されても仕方ないわね。とはいえ、自分がいずれ抹殺される運命にあることを予知し、パトリックは念力フル稼動で単騎決戦に打ってでる。彼が念動力を振り絞ると脳圧計の針がビューン、ビューンと端から端まで振幅するのよ。そりゃすごいエネルギーよ。かなり評価の別れた作品だけど、パトリックの哀感と、病院運営のためには効率第一主義、かなりイケズな婦長の存在感で1票。

 

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