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特集「ラブコメは天使のため息」

2021年9月3日

特集「ラブコメは天使のため息」③
世界一キライなあなたに(上)(2016年 社会派映画)

監督 テア・シャーロック

出演 エミリア・クラーク/サム・クラフリン

シネマ365日 No.3678

ディグニタス

特集「ラブコメは天使のため息」

「ラブコメ」じゃないのですけどね。自殺幇助という重い内容を扱っています。四肢麻痺の主人公、ウィル(サム・クラフリン)の励まし役に雇われたのが26歳の女性ルー(エミリア・クラーク)。面接に来たのは城のような豪邸でした。ルーはウェイトレスをしていた店が廃業し、無職で遊んでいられるような家庭ではない。でもね、イマイチこの映画にノリが悪くなったのは「うちは金がない、遊んでおれると思うな、どうするつもりだ」と、「金、金」と喚き立てる親父がのっけから登場するせいもあったのよ。失業は娘のせいじゃないでしょ。お金の苦労が身にしみているヒロイン。だからお城みたいな家で給料がいいと聞いただけで飛び込んじゃうのね。あえて言えば、向こう見ずな彼女のキャラがコメディっぽかったのです▼ウィルは2年前バイク事故により重度の脊椎損傷を負った。回復は見込めない。ウィルの母カミーラ(ジャネット・マクティア)は「息子は両脚が麻痺、腕もよく動かない。息子を15分以上放置しないで。雇われではなく、友達同士になってほしい」と頼んで、ルーを採用した。ウィルは気難しかった。「ハーイ、ルーよ」と明るく自己紹介した彼女に苦い顔で「僕の前では静かにしてくれ」とそっぽを向く。1日でルーは辞めたくなる。ウィルの元カノがウィルの友人と結婚すると報告に来た(どうかと思いますけどね)。彼女がウィルと別れたのは「事故にあってから避けられ続け、拒否する人を支えられなくなった」からだそうです。ウィルはすっかり皮肉屋になり、明るく振る舞うルーに「君はババくさい服を着てお茶でも淹れていろ」とにべもない。ルーはひるまず「私の雇い主はお母さまです。お母さまに言われない限り居座ります。あなたと居たいからじゃない、お金が必要だからです」と正面撃破▼「僕がキライだろ」「人はキライません」「字幕つきのDVDは見たことがないのか、その年で」「少しは本も読むし、洋服が好きですけど、仕事と家の往復で買い物にも行けません」「僕より退屈な人生だな」と嘲笑。ルーはカミーラ夫人と夫が言い争うのを耳にする。スイスの「ディグニタス」の件で二人は意見を異にしていた。「息子は何度も死のうとしている。彼に寄り添い、支える唯一の道だ」と父親。母親は納得できない。実施までの猶予は半年間だ。「ディグニタス」とはスイスの自殺幇助団体。運営者は元弁護士のルドウィック・ミネリ。医師が作成した診療記録をスイスの裁判所が許可した場合、対象者に自殺幇助できる。同団体の書類審査を通過すれば、医師やカウンセラーと複数回面談し決定する。面接の間隔が空き、考え直す時間がある。撤回もできる。最終の意思確認までウィルの場合、半年ということなのだ。ルーが「半年」という限定つきで雇われたのは、その間にウィルが翻意するかも、という可能性が含まれていた。

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