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特集「ラブコメは天使のため息」

2021年9月4日

特集「ラブコメは天使のため息」④
世界一キライなあなたに(下)(2016年 社会派映画)

監督 テア・シャーロック

出演 エミリア・クラーク/サム・クラフリン

シネマ365日 No.3679

ありがとうは?

特集「ラブコメは天使のため息」

最強のふたり」のようなハッピーな映画ではありませんが、ルーの明るい誠実な性格が「前向き牽引車」となります。死ぬことばかり考えているウィルに、生きる夢や希望を与えたい、生きていてこそ人生は輝くのだと知ってほしいと。ドジかもしれないが、真摯に向き合ってくれるルーをウィルは好きになる。事故に遭うまで向かうところ敵なしだった彼。大富豪にして無敵の青年社長時代がよぎる。スポーツ万能の彼の肉体はアポロのように眩しかった。ルーの妹は「彼はお金持ちなのだから、彼のお金を使ってできること、なんでもさせてあげるのよ」と現実的なアドバイスをした。主治医ネイサンは「行くなら気候の温暖な土地がいいだろう」と進言。たちまち専用機で海辺のバカンス。しかしルーの恋人パトリックは予定していたノルウェー旅行が没、ルーはウィルにかかりきりで、その世話の焼き方は傍目にも睦まじい。当然のごとく破局だ。嵐の夜だった。「今夜はここにいてくれ」とウィルが頼む。「告白することがある」「スイスの件、本心の選択じゃないよね」「無理なのだ。今がいくら楽しくても元の人生とかけ離れている」「私はこの半年であなたのおかげで生まれ変わったわ」「君が後悔するのを見たくない。どんなに君を抱きたいか君にはわからない」「こうしているだけで充分よ」「僕はスイスに行く。一緒に来てくれ」。万策尽きた。ルーの妹は自殺幇助とは「殺人なのよ。関わってはダメ」と強く引き止めるが、ウィルの選択を覆させることができないとわかったルーはスイスに飛ぶ。ルーの顔を見て「来た理由は?」とウィルが訊く。「あなたを誘拐しに来たの。拉致して連れて行くわ」「僕を見て」「最悪な男ね」「悲しむな。今日がその時だ。両親を呼び入れてくれ」▼パリのカフェでルーが手紙を読んでいる。「君に残した金で君はあの町を出ることができる。シマシマの蜂の靴下を履いた君の脚を誇れ。遊んで暮らせる額ではないが、君が花ひらくきっかけになったらうれしい。悲しんでほしくない。生きていけ。僕は君と永遠に一緒にいる」…疑問なのですけどね、人は好きでたまらない両思いの人がそばにいても、やっぱり死にたいものなのでしょうか。迷惑をかけたくないから、重荷になりたくないから? ウィルの治る見込みのない、しかも進行中の重度の疾患を抱えた「お先真っ暗」状態はルーの献身を以ってしてもダメだったのね。自家用機で飛び立てる富豪の財産、使いきれないほどのお金、そんな、こんなは健康な体があってこそ意味がある? 事故前のサラブレッドのような脚、飛翔する翼のごとき腕(かいな)、不可ならざるはないと見えた未来。それらは果たして彼を裏切ったことになるのでしょうか。元の肉体と能力を思い返すたび、絶望は彼を死の虜にするのだけど、またそれが彼自身の選択なら何も言えないけど、過去の、そして今の彼を支え、精一杯頑張っている自分の体に、せめて「ありがとう」を言ってあげてよ。

 

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