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特集「ペガサスを見上げる海は9月のベストコレクション」

2021年9月13日

特集「ペガサスを見上げる海は9月のベストコレクション」⑥
ザ・マスター(上)(2013年 社会派映画)

監督 ポール・トーマス・アンダーソン

出演 ホアキン・フェニックス/フィリップ・シーモア・ホフマン/エイミー・アダムス

シネマ365日 No.3688

「でたらめさ」

特集「ペガサスを見上げる海は9月のベストコレクション」

決して不真面目にこの映画を観たのではないのだけれど、このいい加減なおじさんがなんで「マスター」なの。心の弱った人が頼りにするのはこういう自信満々の男性なのかしら。彼は「原子物理学者で、作家で、哲学者であり、何より1人の人間だ」。この「1人の人間だ」ってなによ。当たり前のことを意味ありげに大層に言うなよ。エライ男なのだけど実はキミたちと同じ「1人の人間だ」なんて完全に上から目線だわ。マスターとは新興宗教団体「ザ・コーズ」の教祖ランカスター・ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)のこと。第二次大戦終結後、アルコールとセックス依存症で社会を漂流している青年フレディ(ホアキン・フェニックス)は、ドッドに出会いプロセシングという催眠療法を施される。ドッドいうには「人間は前世の記憶を含めた過去の体験の全てを記憶していて、さかのぼることで悩める人々の心を救える」▼フレディはドッドの誘導で父親がアルコール依存症のため死亡したこと、母親は精神病院に入院中、育ての叔母と3度性関係を持った、ドリスという娘と結婚するはずだったが、フレディの前線勤務とドリスのノルウェー行きで実らず、ドリスから手紙はもらって返事も書いたが投函しなかったのでそれなりになったと話す。全部話して気持ちよくなったフレディはドッドと握手する。ドッドはフレディの作った密造酒が気にいり、酒を作ってくれるなら教団にいてもいいと許可を与え、フレディは教祖と行動を共にする。実務的に教団を仕切っているのはドッドの妻ペギー(エイミー・アダムス)だ。娘のエリザベス、娘婿のクラーク、息子のヴァルが幹部である。ドッドの講演は熱狂的な支持で迎えられるが、ある時ひとりの男性が疑義を唱え「陳腐なタイムトラベルだ」と批判した。フレディは夜になってクラークを連れ、男性の自宅を訪問すると有無をうわせず叩きのめし、ドッドの側近兼用心棒として行動する▼ドッドの熱心な信者であるセレブ夫人が自宅の豪邸でパーティーを開いた。ドッドは陽気に歌い踊り、フレディは女性たちの全裸を妄想した。妻ペギーは夫にフレディの怪しい酒を飲むことをやめるよう忠告し、精神不安定なフレディと親密になることを危惧した。息子のヴァルは父の教義を「でたらめさ」と決めつけ、フレディは彼を力づくで改心させようとする。ところがドッドはとある財団の資金不正流用で逮捕されてしまう。連行する警官に暴力を振るったフレディも留置場入り。隣同士の柵を隔てフレディは便器を蹴り壊すなどして大暴れし、あんたのメソッドやらはでたらめだ、と喚き散らす。教祖様逮捕で目が覚めたのでしょうか、それともすでにどこかでいかがわしいと感じていたのか、ともかくフレディの気持ちは離れました。暴力を振るうフレディに「君を好きなのは私だけだ」とドッドはなだめるが、弱々しい。でも釈放後ドッドは集中力を高める訓練とか、人格改善のためのテストとかカウンセリングとかを課し、フレディも徐々におとなしくなるのです。でも結局は無駄。ある日広大な土地をバイクのアクセル全開で目的地まで疾走するというゲームで、バイクを走らせたフレディはそのまま逃走する。フレディという内気な青年が訳のわからぬ訓練やセラピーを受けているのが気の毒で仕方なかった。誰が見たってでたらめとしか思えないのだもの。妻のペギーは教団運営上、ホントのことは口が曲がっても言わないわよ。

 

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