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特集「秀麗の10月ベストコレクション」

2021年10月5日

特集「秀麗の10月ベストコレクション」⑤
ウェイティング・バーバリアンズ帝国の黄昏(上)(2021年 社会派映画)

監督 シーロ・ゲーラ

出演 マーク・ライアンス/ジョニー・デップ/ロバート・パティンソン

シネマ365日 No.3710

大砂塵迫る

特集「秀麗の10月ベストコレクション」

無実で捕らえた無抵抗の捕虜を、死ぬまで拷問する変態サド男にジョニー・デップ。彼にへつらい弱い者を虐げるゴマスリ男にロバート・パティンソン。ひとり良識と寛容を備えるがゆえに、前二者に痛めつけられる男にマーク・ライアンス。時代は、さあ19世紀アフリカか。帝国の辺境とあるだけで架空の土地だ。民政官(マーク・ライアン)の統治下、小さな町の住民は穏やかな日々を過ごしていた。そこへ中央から派遣されたジョエル大佐(ジョニー・デップ)は、蛮族が攻め込んでくるという情報を盾に、辺境にいる遊牧民を取り調べと称して拷問した。薬を買いに寄っただけの父子は羊泥棒とされ、父親は死亡、息子は「蛮族が攻めてくる」という嘘の供述書を書かされた。大佐とは自分の計画通りことを勧めるためにデッチあげを平気でやる異常者だ▼大佐が1週間の間に多数の遊牧民を勾引し、激しい「尋問」を加えたため、平穏を保っていた関係が一挙に悪化した。修復には数年かかるだろうと民政官は憂慮する。大佐が本部に一時帰隊している間、留守を預かるマンデル准尉(ロバート・パティンソン)が着任した。皮肉っぽいヌメヌメした顔をしたイヤな男である。民政官の処理に逐一文句をつけ内通行為者と決めつけた。理由は大佐の拷問により父は眼前で殺され、自分は足首を折られた少女を民政官が庇護し、彼女を部族の元に送り届けたからだ。職務を離れた理由を聞かれた民政官は「私事です」とだけ答え、それ以上の釈明を拒否した。大佐が討伐部隊を率いて戻ってきた。連行した捕虜をマンデルが住民の前にひざまずかせ、警棒で打たせた。辺境の歴史を知ろうと、勤務の合間に民政官は木簡の発掘を続けていた。誰にも読めない字で書かれた木簡の、数片を机に並べた大佐は、民政官が敵と情報交換していた証拠とした。お前こそ卑劣な拷問者だと叫んだ民政官は、女性の下着を着せられて引き回され見せしめとして広場の木に吊るされた▼討伐に出発した部隊が数ヶ月も帰ってこない。やっと帰還を告げるラッパが鳴ったが帰ったのは馬にまたがった無言の兵士がひとり。マンデルが彼の軍帽をとると頭の中がえぐられ空洞だった。腰を抜かしたマンデルはおろおろと、城塞から撤退すると発令、規律を失った兵士たちは家畜や女性を強奪し我先に姿を消した。執務室に戻った民政官に少年が来て、大佐が馬を求めていると告げた。馬などどこにもいない。広場に出た民政官が馬車の中に見たのは、遊牧民との戦いに打ちのめされ、どす黒い顔をした大佐だった。逃げさる大佐の馬車に住民たちが石を投げつけた。城壁にいた少年が遠くから沸きあがる砂けむりを見た。刻々近づくそれは、帝国から蛮族として迫害を受けた遊牧民の、大規模な騎馬軍団が巻き起こす砂塵だった。

 

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