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特集「ベリッシマ(美少女)」

2021年10月14日

特集「ベリッシマ(美少女)2」④エリザベス・テイラー
緑園の天使 (1951年 家族映画)

監督 クラレンス・ブラウン

出演 エリザベス・テイラー/ミッキー・ルーニー/アン・リヴィア

シネマ365日 No.3719

神がかりの美少女

エリザベス・テイラーが12歳、4作目の映画だった。MGMが映画化権を手に入れたことを知ったリズとステージママの母親は、早速クラレンス・ブラウン監督に接近した。猛烈なアプローチで母娘揃ってうっとりした口調で「あのお話、わたし大好きなのです」と訴えた。母娘はまだ映画化されるかどうかもわからない作品について喋り続け、特にリズは必ず自分がスターの座にのし上がることを「確信していた」とブラウン監督は振り返った。自信とか信念とかいうより、むしろ神がかりの美少女だった。彼女の予言通り映画はヒットし文字通り「スター誕生」となる。田舎町の馬好きの少女ヴェルベット(エリザベス・テイラー)がパイという馬に巡り合い、厳しいトレーニングを経て馬と心を通わせ、国民的大行事グランドナショナルに出場、激戦を制し優勝するのだ。しかし女の子だとバレ、優勝は失格。でも「優勝騎手は少女、国民的英雄」と新聞はかきたてた。映画化の話が舞い込むが、少女は故郷で家族とともにパイを立派な馬に育てあげる夢の実現を選ぶ▼肉屋を営む父親は1シリングも無駄に使わない締り屋だが、娘が手塩にかけたパイが出場することで町はわき返り、パイに1ポンド、2ポンドと掛け金が集まっていた。彼はこっそり賭け仲間を呼び「わしは真面目な男だが、パイに3ポンド賭ける」と応援を表明する。母親のブラウン夫人(アン・リヴェア)がいい。参加費100ポンドで悩む娘に現金を渡す。彼女は水泳の名手だった。「それ、お母さまがドーヴァー海峡横断でもらった賞金でしょ」という娘に「いつか役立つことに使いたいと思っていたのよ」。「人生を導くのは夢なの。私は20歳でドーヴァー海峡を横断したけど、あなたは12歳でグランドナショナルに出場する。どんなに愚かに見えることでも一生に一度は挑戦するべきなの。きっと勝てる」。アン・リヴェアは本作でアカデミー賞助演女優賞受賞。マイ(ミッキー・ルーニー)は放浪の旅の途中、ブラウン家に立ち寄った元騎手だ。グランドナショナルのゴール直前で騎手3人が団子状態で転倒し、うちひとりが死んだ。それがトラウマになって騎手をやめたが、こうなったからにはヴェルベットに賭ける。夜も昼もトレーニングだ。グランドナショナルは過酷なコースだった。約7キロの長距離レースの上、30カ所のジャンプがある。中でも最困難は「ビーチャーズ」と呼ばれる障害。ジャンプ手前と着地地点の高さが異なり、90度のカナルターンがある。これを時速60キロ以上で疾走する馬とジョッキーが跳ぶのだ。美しい馬の躍動とそれを制するジョッキーの神業のような技術に吸い込まれる。競馬の門外漢が見てもこのシーンは素晴らしい▼アン・リヴェアはエリザベス・テイラーを買っていなかった。女優というには程遠く、小さなからくり人形がただ決められた動作をこなしている」と採点は辛かった。しかしこの驕慢な女の子は学ぶのが早かった。貪欲だった。大きな胸が欲しかったエリザベスは特別食や栄養クリームで体重が増えれば胸も大きくなるだろうと子供ながらに見当をつけ邁進した。そのせいかどうか、後年彼女の何度目かの夫、リチャード・バートンが妻につけたあだ名は「ミス・ボイン」だ。自分が完璧な演技をしたと自負する作品をエリザベスはふたつあげた。「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」と「緑園の天使」だった。

 

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