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特集「ベリッシマ(美少女)」

2021年10月17日

特集「ベリッシマ(美少女)2」⑦ジョディ・フォスター3
アリスの恋(1975年 社会派映画)

監督 マーティン・スコセッシ

出演 エレン・バースティン/クリス・クリストファーソン/ジョディ・フォスター

シネマ365日 No.3722

イケメンのジョディ

特集「ベリッシマ(美少女)2」

タクシードライバー」に先立つジョディ・フォスターの出演作。12歳でした。マーティン・スコセッシの日本上陸映画でもあります。物語は35歳の未亡人アリス(エレン・バースティン)。夫が事故で急死した。暴力男だった亭主に、でも頼りきりだったアリスは子供の頃から夢だった歌手として出直したいと、故郷モンタレーにボロ車で旅立つ。12歳の息子トムと一緒だ。あり金はたちまち底をつき途中の街で仕事を探す。ウェイトレスの職にありついたのがトゥーソン。離婚歴のある牧場主デヴィッド(クリス・クリストファーソン)と知り合いロマンスが芽生える。息子はオードリーという同い年の少女と知り合う。これがジョディ・フォスターです。物語も中盤に入った頃、いきなりボーイッシュなイケメンで登場します▼トムの遊び相手はオードリーだけだ。彼女との会話は初めから刺激的である。オードリーの家に行った。「ワイン、飲む?」「駄目だよ。君の両親は?」「パパは2年前に蒸発。ママは3時から仕事。売春だよ」「戻ってきたら?」「気づかないよ。何が起きたって驚くような人じゃない」オードリーは世間でいびつに扱われる自分の家庭を気にしている様子もなく大人びている。トムは、オードリーとワインを飲みすぎて補導された。オードリーは警察に迎えに来た母親と帰ることに。トムにつききりで心配するアリスに「行かなきゃ。ママがうるさくて」と言い訳し、出口のドアから振り返ると「あばよ、バカヤロー」。スコセッシはこの時のジョディ・フォスターに注目し「タクシードライバー」に抜擢しました。フォスターの代表作と言えば「告発の行方」と「羊たちの沈黙」が相場ですが、「タクシードライバー」に先立つ「アリスの恋」もまた代表作です。美少年のようなジェンダーレスの雰囲気を、小柄でスレンダーな肢体から水を得た魚のように発散しています▼スコセッシらしい批判性も本作の特色でした。舞台となる1970年と言えば、女性にとって自分が主人公の人生を送るなど夢でした。映画においても女優の役は妻か母親か娼婦で役割は男の補佐だった。主役のエレン・バースティンは既存の考え方にとらわれない新進気鋭の監督を望み、フランシス・フォード・コッポラにオススメを訊いたらスコセッシだった。彼の監督作品「ミーン・ストリート」はよかったが女性がいない。今回は女性が主人公だけど、できるかと訊いたら、わかりませんが勉強します、という答えが気に入った。ヒロインが働くウェイトレスの職場で、最初はいがみ合う同僚のフロと仲良くなるエピソードなどユーモラスです。混み合う店で店主がもう1人のウェイトレス「ベラはどこだ」と怒鳴る。フロが「便所でクソ食っているわよ!」。アリスは飛び上がり壁に顔を隠し涙が出るほど笑ってしまう。「よくあんな汚いこと言えるわね。うちの子よりひどい!」「受けた? 父がよく言っていたの」そこへのこのこ天然のベラが現れ(トイレから)笑いあっている2人を見て肩を抱き、3人はいっぺんに仲良くなる。フロは息子の治療費を捻出するため必死で働くシングルマザーです。アリスが「歌手になりたい、でもオンチなの」というと「そんなもの、誤魔化せるわよ」と言ってのける豪胆な人。フロを演じたダイアン・ラッドはローラ・ダーン(「ブルー・ベルベット」「ザ・マスター」「ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」)の母親です。女性へのエールが聞こえる映画となっています。その中で男性でもなく女性でもない、異分子のように現れたフォスターの存在が強烈な印象を放ちました。

 

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