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特集「フレンチ・ノワール」

2021年10月31日

特集「フレンチ・ノワール2」⑦
セシールは死んだ(1944年 劇場未公開)

監督 レイモン・ラミ
出演 ジャン・ギャバン/ジゼール・プレヴィル

シネマ365日 No.3736

メグレの大チョンボ

特集「フレンチ・ノワール2」

ジョルジュ・シムノン原作のメグレ警視もの。3人が殺されます。業突く張りのジュリエット、ジュリエットの姪セシール、セシールの妹ジルベルト。セシールには兄ジェラールがいる。妻がお産するが金がない。叔母と同居している妹のところへ来て「叔母さんに1万フラン貸してくれと頼んでくれ」という。自分で頼みもできないヘタレ男だ。叔母はセシールを奴隷のごとくこき使い「居候のくせに」が口癖だ。品性シナくだる女である。メグレ警視のところへセシールがここ半年間頻繁に面会に来る。「夜中に不審な人物が侵入している。命を狙われている」が訴えの理由。メグレは忙しさにかまけ後回しにしていた。叔母が殺され、セシールが殺された。メグレは悔やむが後の祭り。セシールの妹であるジルベルトもホテルで殺された。しかも頭部が切り取られ持ち去られていた。メグレはジュリエット叔母のアパートを調べる▼住人のダンジュランはジュリエットの財産管理人で彼女の階下にいる。ヌシは16歳の遊び人で近所の評判の悪い女。馴れ馴れしくメグレにしなだれ掛かる。警察は金に困っていたジェラールを容疑者にあげたがメグレは反対。でもまだ根拠はない。彼の捜査は直感的すぎると上司は批判している。なぜセシールは不審人物が侵入していると執拗に訴えたのか。その人物は誰か。ジルベルトは故郷ラ・ロシェルからパリに出てきて何をしたために首を切られたのか。ホテルの鏡に「セシール」と書き残したのはなぜ。叔母ジュリエットは並の給料が月2000フランの時代に、80万フランの資産を作ったのは何によって。捜査が進む。ジュリエットの共同出資者が現れた。彼女はパリ、ベジエ、リヨン、トールーズに特別な「宿」を経営していた。売春宿である。ダンジュランは知っていたが「私はただ売り上げの管理をしただけ」と関わり合いになるのを避ける。ラ・ロシェルからジュリエットの推定相続人を名乗るマシュピエがジュリエットの手紙を持ってパリに来た。「あの恩知らず3人兄弟には我慢できません。彼らが財産を相続するのは間違いの元。私に万一のことがあった時、私の贈り物をあなたに全て遺したと知れば、彼らは失望するはず」。マシュピエは肖像画をもらっていた。ラ・ロシェルに急行したメグレらは先回りしていたダンジュランに会う。ダンジュランが取り返したかったものは肖像画だった。中に封書があり、かつて深い関係にあったジュリエットとダンジュランが共謀して、ジュリエットの夫を殺してことが明らかにされていた▼夜中にジュリエットの部屋を訪問していたのも彼だ。叔母は手に余る案件をダンジュランに処理させていた。結婚費用を借りに来たジルベールを殺させたのもそうだし、頭を切り落としたのは猟奇殺人にみせかけるカモフラージュだった。セシールは叔母の留守中、兄と叔母の部屋を探し遺言書と封書を見つけ秘密を知ってメグレに知らせようと警察に来たところ、ダンジュランに殺された。シムノンの小説には「倫敦から来た男」みたいに、どこか手を差し伸べるところがあるのですが、本作は誰も救われません。「帰らざる夜明け」や「仕立屋の恋」の系列です。おまけにメグレの大チョンボだわ。セシールが吝嗇の叔母にこき使われ、頼りになる兄は金も力もない、妹は離れているし、名警視と誉れ高いメグレは親身になって取り上げてくれない。本作のメグレは早口の甲高い声でしゃべりまくるだけの軽い男。「十字路の夜」とか「モンパルナスの夜」あるいは「サン・フィアクル殺人事件」のメグレのみたいに好感を持てなかったのも、セシールの扱いが杜撰で大失敗したせいよ。仕事と女は侮るべからず。

 

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