女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

特集「頑張るドイツ映画と女性監督」

2021年11月17日

特集「頑張るドイツ映画と女性監督4」③
100日間のシンプルライフ(下)(2020年 コメディ映画)

監督 スヴェン・ダディッケン

出演 マキシミリアン・ブリュックナー/ルイーゼ・ヘイヤー/ヤスナ・フリッツィー・バウアー

シネマ365日 No.3753

お金よりも物よりも

特集「頑張るドイツ映画と女性監督4」

倉庫が差し押さえられ、矯正施設に収容されているルーシーがトニーに会いに来た。「ガサ入れは誰の密告でもない。私が申告したのよ」「借金はいくらだ」「6万8000ユーロ」「俺が払う」「ここが私の部屋よ。与えられたの。現金も数ユーロしか持てない。私は嘘つきなの。心に穴が開いていて埋められない。お金でも物でも無理。あなたにふさわしい人を探して。見栄で選んじゃダメよ」別れの言葉だった▼賭けの99日目。パウルがルーシーを密告したと誤解していたトニーが謝りに来た。「何があったの」と母のレナーテ。「トニー、ふたりとも大人になって。恋人とか家族とか、人には本物の何かが必要なのよ。パウルはここにいないの。カリフォルニアへ行くと。ファーストクラスで。誰が払うのかしら」。トニーはパウルの油ギレした車の跡を辿って湖に来た。彼はそこでソロキャンプしていた。「パウル、俺を見捨てるな。許してくれ」「何に対して?」「お前のデータを無断で使った」「許す」「速度違反をお前になすりつけた」「許す」「レポートを書かせた」「許す。他には」「もしかしてアンナのこと? 俺が誘惑したンじゃない、彼女の方から来た」「認めろ。彼女を好きではないのに、俺から奪いたかっただけだろ」「壊したかったのだ。お前の人生を。お前はいつも褒められ、俺は叱られた。お前は何でも揃っているのに俺は必死で手に入れなければならなかった」「お前は童話のウサギだろ」「そうだ。足はハリネズミのお前より速いのに結局お前に負けるのだ。俺は99日目に買い物をした。賭けは俺の負けだ」気がすむまで言い合ったふたりは、賭けよりも金よりも大事だった友情に気づく。社員たちに共に敗北を宣言し、会社に入るお金は全員で分けることにした。そこへ全員のスマホにニュースが入った。ザッカーマンが無断でNANAをリリースしていたのだ。出し抜かれた。一同唖然。ザッカーマンからのメッセージがあった。「音声を認識するNANAを7億人のスマホで利用可能にする」金はどこからも入らない。社員たちは椅子やらパソコンやら、売って金になりそうなりそうな物を物色して早々と会社を出て行った▼「終わったな」「富豪気分が経験できただけよかったじゃないか」「金も女も失った」「待て、トニー。俺がいるだろ」「悪いが俺は女の方がいい」「ルーシーに惚れたのか。忘れろよ」。ある日ルーシーは玄関から不思議な目印(石とかハシゴとか)が示す道順をたどり野原についた。原っぱの真ん中に全裸のトニーが前だけ隠して立っていた。「聞いてくれ」と声を張り上げ「俺は眼鏡をかけるとアホ面だ。朝は口が臭い。空腹で不機嫌になり名前を覚えられない。母親がいないと眠れなかった。エラソーにする。他人が苦手だ。君が恋しい。みな心に穴が開いていて何かで満たしたがっている。金や周囲からの注目で。でもそんなもの関係ない。我々は永遠に未完成だ。それなら一緒にいないか。それに俺は将来禿げる。富豪になるのは早合点だった。ここにある5つのものが本当に大事なものだ」。トニーの足元にあるのは靴、ズボン、シャツ、パンツ。「4つしかないわ」とルーシー。「やだ! あとひとつは…私? ずるいわ」「パウルの案だよ」「やっぱり」▼パウル、ルーシー、トニーの3人はハイキングで見晴らしのいい丘の上にいる。「ひどい連中ね。発明を盗んだのよ」「いいさ、我々のプログラムが7億台のスマホに搭載されるのだ。NANAと約束した。最後は俺の願いを聞いてくれる」「どんな?」パウルはこっそり商品の権利を譲渡する際、NANAを利用するすべての人に「データは収集されている。これからは自分で判断する時代だ」とメッセージを流すようプログラムを仕組んだのだ。言い終わらないうちにNANAが起動するための呼び出し音が鳴った…▼人はミニマリストであるに限る。心の充実を実感できない人がモノとお金に走る、のかもしれないけど、買い物って確かに楽しいからね(笑)。お金を使うとくさくさしていた気分がパ〜と一時的に晴れるのも事実よ。本作は常識的なテーマを扱っているけど、時に振り返り、立ち止まって再確認しなければならない大事なことがあると気づかせてくれる。後味のいいドイツ映画でした。

 

あなたにオススメ