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特集「B級映画に愛をこめて」

2021年11月25日

特集「B級映画に愛を込めて18」①
グッバイ・ラバー(1999年 コメディ映画)

監督 ローランド・ジョフィ

出演 パトリシア・アークエット/メアリー=ルイーズ・パーカー/ダーモット・マローニ/エレン・デジェネレス

シネマ365日 No.3761

無駄にややこしいだけ

連続殺人犯のヒロイン、サンドラ(パトリシア・アークエット)に、それなりの悪女の凄みがあればいいサスペンス映画になったでしょうに。彼女が前後の見境なく殺しに走るだけなので、お手軽な殺人カタログみたいになってしまった。どう見ても絵になるビッチじゃないわね。ローランド・ジョフィ監督(「キリング・フィールド」「スカーレット・レター」「宮廷料理人ヴァテール」など)の得手分野はシリアス系でしょう。手を出すジャンルではなかったですね。高級不動産を扱うブローカーのサンドラは、広告会社の役員とは名ばかりの、アルコール依存症の夫ジェイク(ダーモット・マローニ)と組んで、彼の兄ベンの殺害計画を立てる。目当ては保険金400万ドルだ▼首尾よくベンは殺したが、死ぬ3日前にベガスで結婚していた。相手は会社の同僚ペギー(メアリー=ルイーズ・パーカー)である。1人殺すのも2人殺すのも同じだとサンドラ。ところが夫もペギーと関係していた。サンドラは怒り夫とペギーが相乗りしているオートバイを中古車で体当たり、谷底に突き落とす。踏んだり蹴ったりのサンドラにさらなるトラブルが重なる。事件を担当した女性ポンパノ刑事(エレン・デジェネレス)が頭からサンドラを疑ってかかる。理由が「いい年の女がカーステにサウンド・オブ・ミュージックを入れて聴いているなんて」だから、やり手なのか鋭いのか只の独断家なのかわからない。この刑事がサンドラに「あんたが殺ったのだろ」と断定する。推理も操作もヌキで、800万ドルのためならなんでもやると決めてかかっているのがお手軽だ。兄の保険金400万ドル、弟のそれが400万ドル、都合800万ドルだ。「山分けするなら見逃してやる」と女刑事。サンドラは泣く泣く了承する。1年後大金を手にしたふたり。ポンパノは刑事を引退し悠々自適で、サンドラと仲良く同じ車に乗って走り去る。ミステリーとしては無駄にややこしい、サスペンスとしてもサワリがない、ましてホラーでもなく、女刑事も凄みがなく、コメディだとしたら底が浅くて笑えない。結局何が言いたいのか消化不良のまま、ワルの女2人が幸せになりました、とさ。悪役の軽かったのが致命的ね▼メアリー=ルイーズ・パーカーの出演が隠し味になっていてやや救われる。彼女の出演作には、最近の「レッド・スパロー」、やや昔の「ボーイズ・オン・ザ・サイド」「フライド・グリーン・トマト」がある。ルーニー・マーラほどではないにしても薄幸役が多い彼女に本作は珍しく殺人共謀者。あっさり殺されてしまったのが残念だった。パトリシア・アークエット。「6歳のボクが大人になるまで」でアカデミー賞助演女優賞を受賞した。おかしくて無駄にややこしい映画「穴/HOLES」にもしっかり出演していたけど、悪役好きのシガニー・ウィーバーがいたから目立たなかった。でもな〜、持ち味としては実姉のロザンナ・アークエット(「パルプ・フィクション」「クラッシュ」)がサンドラをやったら暗さのある、けっこうなビッチになったと思うよ。

 

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