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特集「B級映画に愛をこめて」

2021年11月27日

特集「B級映画に愛を込めて18」③
ダニエラという女(下)(2006年 恋愛映画)

監督 ベルトラン・ブリエ

出演 モニカ・ベルッチ/ベルナール・カンパン/ジェラール・ドパルデュー

シネマ365日 No.3763

私を変えようとしないで

2週間も欠勤しているフランソワを心配し、見舞いと称して同僚たちが押しかけてくる。壮大なパーティーとなる。ダニエラは同僚の1人と抱き合っている。ギャングのボス、シャルリーまで来る。「入ってもいいかな。一緒に暮らしていたダニエラが出て行った。寂しくて会いに来た」大歓迎を受け、ブリューゲルの絵画顔負けの猥雑さを呈する。シーンは一転。屋上に洗濯物が満艦飾。部屋の中ではフランソワとダニエラが差し向かいで朝食をとっている。ダニエラはメークを落としてスッピン。地味なワンピースだ。「心臓の具合はどう?」「治ったよ。君と出会ったら治った」。黙々と食事が続く…モニカ・ベルッチの静かな横顔は、ダニエラが念願とした「フツーの生活」を手に入れたことになるのでしょうか▼本作は意味のないシーンが構成を曖昧にしていますが、そんなことお構いなしに、挑発的なセリフの連発で観客を引きずり込む。簡単に言えば宝くじに当たったと嘘をついた男が、大金を見せ金に、一目惚れした娼婦と一緒に暮らす話。あの女は娼婦だぞ、と男たちが心配するのは上辺だけ。内心は「美しすぎる」ダニエラにヨダレを垂らす本性が戯画的なまでにくっきり。ダニエラはダニエラで娼婦であることを恥も隠しもせず大胆。「ちょっと。ちょっとオ〜」と隣の部屋の女がガンガンドアを叩き、フランソワが顔を出すと「私、仕事中なの。わめき方がうるさいの。殺される前の雌牛みたいよ」ダニエラが代わる。「人の幸せに嫉妬?」隣の女「どんな幸せ?」「好きな男とやりまくってイクことよ」女「わめく女はフリをしているだけよ」「あなた、叫ばないの? 不感症じゃない?」「失礼ね。私のセックスは野性的よ。大地を揺るがすような」ダニエラとフランソワ、顔を見合わす。フランソワは興味ありげです。女「オーガズムは深い底から湧いてくる。こんな感じで…そして白目を剥くの。今度彼女を見てみたら?」言うだけ言って消える。フランソワおもむろに「ダニエラ、やり直そう」。彼の「やり直し」はソノ意味ではない。「フリするのはよせ。僕は観光客じゃない。僕に対してどんな気持ちだ」「愛よ」「金に対して?」「ええ。お金以外に何かある?」「僕のいいところは?」「たくさんあるわ。私を抱くとき、あなたは大切に包むようにしてくれる。一緒にいたいわ」「ありがとう」「妙なこと考えないで」「どんな?」「私を変えようとしている」「君が娼婦で男と寝てもかまわない。僕の前でなければ」。寛大なフランソワ。ダニエラも「金だ、金だ」と言いながら、ラストは粗末な暮らしに満足していますから、今のところ、愛の暮らしに行き着いたみたいです。女に娼婦と女神を求める男の古典的なまでに厚かましい要求、金と欲望の肯定、それらがくるくる混戦してセリフを喋り散らかしながら大団円となります。意味のないお騒がせシーンが構成を混乱させますが、監督はモニカ・ベルッチを撮るためにこの映画を作っていますから、細かい指摘をしたところで無力、無駄、無為を覚える稀有な映画です。

 

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