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特集「B級映画に愛をこめて」

2021年11月28日

特集「B級映画に愛を込めて18」④
サスペクト・ゼロ(2005年 犯罪映画)

監督  E・エリアス・マーヒッジ

出演 アーロン・エッカート/ベン・キングスレー/キャリー=アン・モス

シネマ365日 No.3764

超能力者の苦しみと執念

イカロス計画という極秘プロジェクトがFBIにあった、という想定で進みます。イカロスとは軍がソ連から盗んだ技術をFBIが殺人事件に応用した遠隔透視捜査。オライアン(ベン・キングスレー)は連続殺人捜査班のトップだった。同じくFBIの敏腕捜査官、トム(アーロン・エッカート)も遠隔透視の特殊能力を持つが、それが原因で手続きを無視した独断捜査で失態を犯し、ダラスから田舎町のアルバカーキに左遷された。ここで連続殺人が起きる。殺されたのはセールスマン、小学校教師、証拠不十分で釈放されていた連続殺人犯容疑者スターキー。どの被害者も瞼を切り取られており眼球が露出、円に斜線を引いた絵が残してあった。現場に会った放置車をたどり、トムは精神医療施設にいたオライアンにたどり着く。彼が引きこもっていた地下室には無数の行方不明の子供の資料と、彼が透視した大量の絵があった▼犯罪生物学のデイツ教授を訪問した。オライアンは彼の教え子だった。「円に斜線のマークはオライアンのシンボルだ。題してゼロ・サスペクト(容疑者ゼロ)。FBIのプロファイリングからすり抜け、捕まることなく国中を放浪する殺人者。確かに存在するが気づかれないというのがオライアンの主張だった」「なぜ彼はそんな分析を確信しているのですか。オライアンがサスペクト・ゼロなのでは?」「大いにあり得るがまずオライアンを見つけ出さないと」。トムは捜査を続け最初の被害者、セールスマンの自宅に潜入する。屋根裏からたくさんの写真や遺留品から10人の身元が判明した。大半が10代の家出人少女だった。この展開を受け小学校教師の家を捜索し9人の遺体を発見した。スターキーも連続殺人の容疑者だ。オライアンの標的は連続殺人犯だったとトムは判断した▼並行して幼児誘拐失踪事件が起きている。子供がいなくなった現場には必ず大型トラックが通りかかっていた。オライアンがパトカーの警官を撃ち(命に別状なし)拳銃を所持して逃げたと報告が入る。オライアン逮捕の指示に「彼は犯人じゃない、誘拐犯を追っているだけです。彼はイカロス計画に携わった元遠隔捜査官です。彼の地図を見てください」「50人以上に上る誘拐が全部同一犯だと?」「そうです」上司はうんざりする。「なぜオライアンを信じる?」「我々より利口だからです」。とうとうオライアンからトムに連絡が入り指定の場所で会った。オライアンは過酷な緊張を強いる遠隔捜査を振り返り「我々は最高の透視者たち5人の班だった。暗黒の中に縛り付けられた。透視することで人間の脳内を覗き苦しみ、悩み、悪を見て感覚を破壊された。その結果みな死亡か施設送りだ。見ろ」オライアンは広い野原にこんもりした土の盛り塚が無数にあるのを示す。オライアンは1つの盛り土を掘り起こすと子供の靴が出てきた。全て1人の犯人の仕業だ」▼大型トラックが入ってきた。「隠れろ」。男が降りてきて逃げた。トムとオライアンが追跡する。同僚のフランが応援隊と到着した。「トラックに子供がいる」と言ってトムは男を岩場に追いつめ、逮捕せず岩を頭に振り下ろして殺した。自分も殺してくれとオライアンが頼む。この光景を千回も見た。君も私と同類だ。疲れたのだ。救えなかった行方不明者の顔が見える。みな瞬きをせず私から離れない」「サスペクト・ゼロはいない。君の妄想だ。俺たちは特殊な技を持っているが神じゃない。変態を1人殺しただけだ」オライアンは銃を構えたが、追いついたフランが撃った。最後に「ありがとう」とトムに言った。オライアンは過去に成し遂げられなかった誘拐殺人犯逮捕を独自で進めていたわけね。特殊能力ゆえに神経を引き裂かれた捜査官をベン・キングレーが圧倒の存在感で好演。オープニング、土砂降りの夜にダイナーに現れるオライアンがミステリアスかつ不穏な空気をまとい、それだけで物語の中に引き込みます。低評価だったけど、オライアンのヒューマンな苦しみと捜査官としての執念を描いたことに私は○。

 

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