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特集「B級映画に愛をこめて」

2021年11月30日

特集「B級映画に愛を込めて18」⑥
モールス(2011年 ホラー映画)

監督 マット・リーヴス

出演 クロエ・グレース・モレッツ/コディ・スミット=マクフィー

シネマ365日 No.3766

孤独なビッチ

「ぼくのエリ200歳の少女」のハリウッド版。あえて言えば主演のクロエ・グレース・モレッツとコディ・スミット=マクフィーのケミカルがよかった。1983年3月。雪に閉ざされた田舎街に少女と中年のおじさんが引っ越してくる。オーウェン少年(コディ・スミット=マクフィー)のアパートの隣の部屋に入る。少女の名はアビー(クロエ・グレース・モレッツ)。雪の積もった真冬に裸足だった。オーウェンは学校でいじめられている。望遠鏡で覗きをする内向的な少年だ。雪の中庭でアビーに話しかけられる。オーウェンの内心を見透かしたように「言っておくけど、友達にはなれないわ」と言う。アビーたちが引っ越してきてから町では連続殺人事件が起きる。一緒にいるおじさんトーマスは、夜な夜な町に出てアビーのために人を殺し、血液を採ってアビーに飲ませているからだ。アビーは吸血鬼でおじさんは育ての親であり、保護者だ▼殺人に失敗したおじさんは追跡を受け、身元が分からないように顔に硫酸をかけ病院の10階に搬送された。アビーはいとも簡単に窓から病室に侵入した。おじさんは「すまない、許してくれ、アビー」と言い残し、自分の首筋を噛ませて血を吸わせ、10階から飛び降りて死ぬ。彼らは町から町を移動し人を殺し、事件で騒がしくなるとまたよそへ行く。アビーは学校にもいかないし、人間が食べるものも食べない。部屋はいつも締め切り窓を閉じ、日の光が入らない。唯一の保護者であるおじさんを失ったアビーは自分で血液を調達しなければならなくなる。アビーと壁越しに会話ができるよう、オーウェンはモールス信号を覚える。友達ができて楽しそうな彼をイジメグループはせせら笑い、トイレで襲ってくる。怪我をして帰ってきたオーウェンにアビーは「思い切り全力でやり返せば相手が3人でも勝てる」と力づける。「それでも止めなければ?」「私が手伝うわ。見かけより強いのよ」。オーウェルはグループのボス、ケニーを湖面でのスケート実習時間に叩きのめす▼ケニーの兄が弟の復讐戦に仲間を連れ、オーウェルをプールで襲った。3分間潜っていたら頬を切るだけで勘弁してやる、潜れなかったら目玉をえぐる。3分間以上たっても押さえつけた頭を話そうとしない。溺れかけたオーウェルに、食いちぎられた死体が放り込まれる。水から顔を出すと血だらけの裸足の足が見えた。オーウェルはアビーとともに町を出る列車に乗った。乗客は誰もいない。物寂しい光景がこれからの彼らの未来だ。時々聞こえる小さな音は、トランクの中にいるアビーと交信するモールス信号だ。オーウェルの父母は離婚して寂しい家庭だったが、母親は息子を愛していた。その母も故郷も捨て吸血鬼とともに生きる。オーウェルは学校にもいかず、何をして食べていくのか。人を殺しアビーに血液を供給するのか。リアリズムで考えるとなりたつはずのない物語です。少年少女の青春ものや、純愛ものが陥るアホらしさから救っているのは、クロエの大人びた雰囲気でしょう。彼女は「アクトレス」ではジュリエット・ビノシュ、「ダーク・プレイス」ではシャーリーズ・セロン、「サスペリア」ではティルダ・スウィントン、「グレタ」ではイザベル・ユペールと、錚々たる大女優相手に自陣を張り、本作では14歳でしたが孤独なビッチを好演しています。

 

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