女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」

  • facebook
  • twitter
  • line
  • rss

令和3年師走のベストコレクション

2021年12月18日

特集「令和3年師走のベストコレクション」⑨
Mr.ノーバディ(2021年 アクション映画)

監督 イリヤ・ナイシュラー

出演 ボブ・オデンカーク/クリストファー・ロイド

シネマ365日 No.3784

男のファンタジー

平凡な夫であり父だったハッチ(ボブ・オデンカーク)が、男女2人組強盗の侵入をきっかけに隠していた正体を現す。彼の通称「ノーバディ」(誰でもない人)とはFBIの「会計士」という特殊任務だった。それは各機関で最も恐れられている人間。現場で全員殺すのがハッチのやり方だ、それだと逮捕しなくてもすむからだ。ところが過去に見逃してやった犯罪者が故郷に帰り、和やかな家庭の父親となっているのを見て、俄然、自分もそうありたくなる。退職。結婚し妻との間に息子と娘が1人ずつ。ある夜、押し込み強盗が入る。せいぜい20代後半の男と女だ。相手が息子を殴るのを見てハッチはゴルフクラブでぶちのめしかけたが、女だとわかり振り上げてクラブを下ろした。相方の男は銃を構えて脅したが、レボルバーの弾倉がカラだと素早くハッチは見てとり適当にあしらって追い出すが、強盗をやっつけられなかった父親に息子は失望する▼「ジョン・ウィック」は愛犬が殺され、復讐のため殺し屋に戻った。ハッチはー可愛い娘が大事にしていた猫のぬいぐるみを連中が持ち去ったとわかり、怒りがたぎる…というより、彼には「ノーバディ」復活願望が潜在下にあったのだ。老人ホームで平和に暮らす、ハッチの父親デイヴィッド(クリストファー・ロイド)はこう言う。「中庭の散歩、昼寝、水泳、朝寝坊を楽しんだ。だが忌々しいことにこれ(銃)が忘れられないんだ」。ハッチも同じだ。どこかで血が騒ぐのである。ぬいぐるみの持ち主からロシア・マフィアに行き着き、マフィアで最も悪党と呼ばれるユリアンの総攻撃を受ける身になって、ハッチの闘争本能が沸点に達する。ユリアンには弟がいて、いかがわしい連中とつるみ、ハッチの乗り合わせたバスを乗っ取り、若い娘1人を残して傍若無人の振る舞いに及ぼうとした時ハッチが立ち上がる。「引っ込んでろ、ジジイ」。何しろ現役を離れ20年、戦闘にはまだ慣れていなかったが、それでも5、6人の男の鼻を潰し歯を折り、半死半生の目に合わせた。病院に搬送されてから死んだ男が1人、それがユリアンの弟だ。兄貴は弟の不行状を棚に上げ、ハッチを殺すと手下に号令をかける▼デイヴィッドはハッチが引退したものの不本意な家庭生活であることがわかっている。退屈なルーティンの毎日、毎週忘れるゴミ出し、その度妻は「また?」と言うだけだが、ありありと夫の無気力に失望している。ベッドの真ん中には壁のような大きなクッションが2人の間を仕切っている。夫婦はセックスレスなのである。会社は妻の父が経営する。ハッチは隠していた金の延べ棒で工場を買い取り、随所に罠を張り巡らし、大量の武器、かなり特殊な武器弾薬を準備した。例えばポーチのような軽量・小型の爆弾である。完璧な準備を終え、ハッチはユリアンの本拠地のナイトクラブに来る。朗々と「ラ・マンチャの男」を歌い上げるユリアンの正面に陣取りワインを傾け、「弟を殺したな」色をなして詰め寄ったユリアンに「自業自得だ」と挑発し「お前を許せないのは俺の妻と父を襲ったことだ。オブシャク(ロシア・マフィアの年金。幹部が当番制で何億ドルの現金を管理しており、今年はユリアンの番だった)は燃やしたぞ。お前は自分の隠し金で弁償し、整形で顔を変え南の島で穏やかに暮らせ」。ユリアン、逆上すまいことか▼手下全員を引き連れハッチを追跡する。ハッチは巧みに改造工場に誘い込み対決となった。多勢に無勢、ハッチ危うし。その時だ「せがれ、来てやったぞ」。親父と異母兄弟で現役のFBI捜査官ハリーが加勢に現れた。3人は暴れまわり、最後に残ったユリアンをハッチ手製の爆弾で黒焦げにした。「少々やり過ぎたかな。愉快だった。行ってくれ、あとは俺が処理する」というわけでハッチは警察の事情聴取を受けている。大胆不敵な古兵(ふるつわもの)にして、混乱を楽しむ不敵な面構えの親父がいい。二言目に「お前の尻拭きはごめんだ」と言いながらいつもハッチを助けるハリー。現在の自分を「世をしのぶ仮の姿」とみなす男性にはうってつけの、潜在願望を満たすファンタジー映画です。一家は大団円です…ですが新居を物色中のハッチ親子に電話が1本。ハッチはさりげなく不動産業者に「この家に地下室(緊急避難用のシェルター)はあるか」と訊く。マフィアの襲撃第二波をほのめかせてエンド。大ヒットを受け、続編あるかもね。

 

あなたにオススメ