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令和3年師走のベストコレクション

2021年12月19日

特集「令和3年師走のベストコレクション」⑩
RUNラン(2021年 スリラー映画)

監督 アニーシュ・チャガンディ

出演 サラ・ポールソン/キーラ・アレン

シネマ365日 No.3785

私が正しかったとわかるはず

ダイアン(サラ・ポールソン)は娘クロエ(キーラ・アレン)を溺愛している。下肢の筋無力症、脚の傷害、不整脈、血色素病、喘息、糖尿、いくつもの難病を抱える車椅子のクロエを自宅で教育し、大学を受験させ、合格通知が届くのを母娘で楽しみにしている。ある日、スーパーの袋からチョコレートを探していたクロエは母親の名の処方箋を貼った薬ビンに気がつく。いつもの薬の会社が倒産して今日から別の薬に変えられた、と母が出した薬は母の名で処方された薬だった。「その薬はママのでしょ」と尋ねたがはぐらかされた。「トリゴキシン、クロエ・シャーマン」のラベルをはがすとやっぱり「ダイアン・シャーマン」だった。情報を探すと「トリゴキシン」は心疾患に使われる強い薬で、赤いカプセルとわかった。先の薬は青いカプセルだった。不審が解けないクロエは知り合いの薬剤師にカプセルを調べてもらう。「犬の薬」だとわかった。「人間が飲んだらどうなるの」「脚が麻痺すると思うわ」。クロエは震え上がる▼スタートからスリリングで、サラ・ポールソンがミステリアスです。登場人物は母娘2人、場面はほぼ家の中というワンシチュエーションで戦慄を引き起こすサイコ・スリラーの佳品です。ダイアンとクロエは仲むつまじく平穏に暮らしていた。しかし娘が合格し大学に行くと離れ離れになる。ダイアンは娘と一緒に生きる以外の人生を考えられない。娘をつなぎとめるためにとんでもない行動に出る。クロエは監禁された地下室でダイアンの秘密を知った。本当の娘クロエは生後22時間で死亡し、ダイアンは同じ病院の新生児を誘拐し自分の娘として育てたのだ。健康で五体満足の元気な女児だった。ダイアンは同じくクロエと名付けたその子を、長い時間をかけて薬でたくさんの病気を作り、自分の介護がなければ生活できない体にしてしまったのだ。献身的な介護は支配するために他ならなかった。大学に合格していたことも黙っていた。おまけに犬の薬で下肢の麻痺をもっとひどくさせるという強硬手段を取る▼脱出したクロエを病院から連れ出したダイアンは警備員に撃たれ逮捕、刑務所病院の精神科に収容後7年。リハビリによって大学にも通い、実の母親も探し出したクロエは、ダイアンを見舞う。明るい近況を報告しながら、口に隠した薬を取り出すと、それは青いカプセルだった。「お薬、大好きでしょ。さあ、飲んで」。クロエは復讐に戻ってきたのだ。どっちもどっちね。ダイアンのことばかり言えないわ。しかしながら、こういう比較は意味ないとわかっているが、アブノーマル度を比べると出演シーンのほとんどをリードするダイアンが上ね。クロエちゃん、サバイバルに頑張りましたけど、ダイアンのサイコぶりがユニーク。「あなたはいずれ、私が正しかったとわかるはず…」そうつぶやくママは、最後まで犯罪の意識がないのよ。正義ありき、の信念に施す治療はない。サラ・ポールソンは綺麗な人なのに眼のふちの濃いメークでシュールな容貌に。ひとつ間違えば「死霊館」だわ。「ニューイヤーズ・イヴ」「キャロル」「ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書」「オーシャンズ8」など、いい役が続いている一方、本作や「アメリカン・ホラーストーリー」「ラチェット」など、どうしても怪奇もしくは異端のマイノリティが好きなようです。

 

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