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特集「令和4年新春ベストコレクション」

2022年1月12日

特集「令和4年新春ベストコレクション」⑫
5月の花嫁学校(下)(2021年コメディ映画)

監督 マルタン・プロボ

出演 ジュリエット・ビノシュ/ヨランド・モロー/ノエミ・ルヴォウスキー/アナマリア・バルトロメイ

シネマ365日 No.3809

ここに宣告する!良き妻はもういない

特集「令和4年新春ベストコレクション」

銀行に事情を聴きに行ったポーリーヌは唖然、担当者が元カレ、アンドレだった。戦後の音信不通でそのままになり、ポーリーヌは結婚、彼も結婚し子供が2人、妻と死別した。急接近はしたが破産した学校を放っておけない。アンドレはポーリーヌが自分の口座を開けば夫の借金は見逃す、と夢のような寛大な措置をとる。同席したジルベルトは「救世主だわ」とのぼせ上がり、ポーリーヌとのいきさつも知らずアンドレに恋してしまった。デュ・ポンはコリーヌ(Cの頭文字は彼女)が好きだ。思い余って一度キスしたら(トイレで)「あなた、正気!」と飛んで逃げた。でも思い切れない。もう一度アプローチする「ここを出て一緒にパリに行こう」。コリーヌはすぐに返事はしなかったが、後でそばに来て「あなたと一緒に行く。でもひとつ約束して。海に連れて行って。まだ見たことがないの。初めての海をあなたと一緒に見たい。一生離れない。愛している」▼花嫁学校は毎年開かれる家電製品見本市にアルザス代表として出場することになった。場所はパリ郊外のコンベンション・センター。テレビ局が出場校の取材にきた日、大騒動が持ち上がった。イヴェットが首を吊ったのだ。発見が早かったので息を吹き返したが、遺書を読んだポーリーヌ校長はショックで寝込んでしまった。「父親ほどの男と無理やり結婚させられるのよ。自殺にまで追い詰められて。私は何を教えてきたの? これ以上男の奴隷になれとは言えない。私は降りるわ」。アンドレが来た。窓の下の男にポーリーヌが叫ぶ。「結婚はしない。誰かの妻はこりごりよ」「何を言っている。僕は君と人生を過ごしたいだけだ。子供達は独立した。僕は自分で料理もすれば家事もやる」。窓から忍び込んだ男と校長が熱烈に愛し合うのをジルベルトは鍵穴から覗く。恋は覚めた。彼女は長い金髪をバッサリ。パリに出発するバスに乗り込んだのはモデルのように垢抜けたジルベルト。生徒たちは拍手喝采で迎えた。バスはしかし5月革命で学生たちが築いたバリケードのためパリに入れない。立ち往生だ。校長「私たちはパリに行くのよ!」一喝するとバスを捨てて歩き出した。生徒たちが続く。「ボーヴォワール、マタハリ、サラ・ベルナール、マリー・キューリー」歩きながら校長が名を挙げる。「クレオパトラ、フリーダ・カーロ、グレコ、ヴァージニア・ウルフ、アナニス・ニン、マルグリッド・ユルスナール、ジョセフィン・ベーカー、マリリン・モンロー、ジョルジュ・サンド、ローザ・パークス、ジャンヌ・ダルク」女性差別撤廃のために旗印をあげた女性たちだ。生徒たちも負けず「私たちにピルを! 選ぶ権利を。思い切り楽しみたいだけ、背きたいだけ、学びたいだけ」。校長は腕を振り上げ「その①良き妻は自由であること。誰の所有でもない。その②良妻は自分で決断し強い意志を持つ。その③良妻は自分で稼ぎ稼いだものは自分のもの。その④女の体は本人のもの。その⑤女性と男性は同等の立場。避妊も出産も女は自分で決める。その⑥殴られず捨てられず、もう虐げられない。その⑦社交界令嬢も普通の少女も修道女も、ママも尻軽女も目を覚ませ。ここに宣告する。良き妻はもういない。強くあれ、これは革命だ!」。ジュリエット・ビノシュを先頭に女性の一列隊が5月の緑の野道を行進する▼マルタン・プロボ監督が「セラフィーヌの庭」「ヴィオレット ある作家の肖像」「ルージュの手紙」と全く異なるフィーリングで仕上げたコメディ。調子よすぎるとしかめツラするより、作劇の腕の確かさと後味のよさを楽しんだ方がトク。

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