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特集「令和4年新春ベストコレクション」

2022年1月14日

特集「令和4年新春ベストコレクション」⑭
アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生(下)(2021年 ドキュメンタリー映画)

監督 リナ・プリオプリテ

シネマ365日 No.3811

命の華やぎ

彼女らの普段のおしゃべりも聞いてみよう。「62歳だなんてショックだわ。心は14歳か12歳のままよ。歳の実感がないの」(ジボラ・サラモン)。「50代でヨガを始めた。心も体も解放されて爽快よ。じき70歳だから無理は禁物。体を動かして健康でいたいの」(デボラ・ララポート)。「今度の1月で80歳よ。誰でも歳をとるわ。歳を取っても美しくて人間離れしていることだってできるわ」(リン・デル・コーエン)。「大昔の写真よ。家にあるものはほとんどハンガリーの品物。夫は60代、私は40代だった。彼が倒れてから働き始めた。歳をとると夫を失ったり、将来が不安になるけど、私は私らしく仕事に集中したの」(ジョイス・カパルティ)。「私の悔いはひとつだけ。夫と一緒に歳をとりたかった」(ジャッキー・ムルドック)▼彼女たちはファッション界に影響を与えた。広告塔として起用され、女性たちの目標として注目されている。イロナはこんな手紙をもらった。「先日は路上であなたたちを見て、思わず声をかけました。記念の写真を同封します。出会ったのは運命です。燃えるような赤い髪の天使が目を輝かせ、僕の人生に舞い降りた気がしました」。彼女はこう付け加えた。「人生が終盤になると、空気や海に魅かれる。何かを主張することもなく、年老いた自分をひたすら楽しむの。誰でもいつか老いるとわかっていても、それがどんなものか想像はつかないはずよ。踊って飛び跳ねていたのに突然体が不自由になり、転ばないように注意するようになる。入院したらおしまいよ」。ジャッキーは緑内障が進んでいる。「私の視界は限られ、ほとんど見えない状態なの。気付かれないようにカバーしているけど。遺伝よ。母も姉も最期は影しか見えなかった」。老いと死は確実に近づく。リンはマンハッタンのユダヤ人介護センターにいる。「友人には旅行だと言い手術を2つ受けた。6週間入院してここに2週間。胆石が暴れ出し激痛に襲われたの。死にかけたわ」。ゼルダはニューヨーク・ファッション週間のショーの最前列で気を失い、救急車で運ばれ搬送先で逝った。「95歳で見事な大往生だったわ。お洒落して人生を楽しみ、病院で管に繋がれて死ぬより、大好きな空間で息絶えて本望だったでしょう」とデボラは言う▼セックスについても聞きたい。「歳をとるほどよくなるわ。年齢は問題じゃない。人生の楽しみ方は人それぞれよ。私だったら相手の温もりや愛撫の表現を求めるわ。行為そのものよりもね」(イロナ)。「当然するわ。90歳の女性に聞いたらセックスは素晴らしいと言っていた。いくつになってもそういう相手がいることはいいことよ」(ジョイス)。「だけど90歳ですよ」と念をおしたインタビュアーに「何が悪いのよ。60を超えたら終わりですって? 死ぬまで可能性はあるわよ」(ジャッキー)。なんたる率直なお言葉。老いを隠すより、抵抗するより、恐れるより、その時の自分を楽しむ。それが「お洒落上級者」の基本であり面目なのだ。彼女らにとってお洒落とはつまり、生き生きした自分らしい生き方にすぎないのではないか? しょぼくれていたら尻を叩かれそう▼最後に「老いについて」。「若作りはいちばんみっともないわ。神に生かされていい人生を送っているなら、老いは祝うべきことで。隠すことじゃない。みんな言うでしょう。髪を染めないと老けて見える、杖をつくと年寄りくさいとか。年寄りで何が悪いの」(アイリス)。「フェイスリフトに興味はない。しわを隠しても人生は変わらない。あなたを物語るのは結局人柄なのよ」(ジョイス)。「自ら老け込む人がいる。もう歳だと言って。そんなふうには思わないわ。心は娘の頃と何十年も変わっていないのよ。私の心はいつだって踊っている」(ジャッキー)。心身ともに素敵なセンスを、映像で見せられないのが残念だけど、本当にみなさん、知的で綺麗でアナーキーで、命の華やぎに溢れていました。

 

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