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特集「ラブコメは天使のため息」

2022年1月22日

特集「ラブコメは天使のため息2」⑤
50回目のファースト・キス(2005年 コメディ映画)

監督 ピーター・シーガル

出演 ドリュー・バリモア/アダム・サンドラー

シネマ365日 No.3819

37兆分の1

ここはハワイ。ルーシー(ドリュー・バリモア)は1年前、父とパイナップル狩りの帰りひどい事故に遭った。父は骨折だったがルーシーは短期記憶喪失となった。長期の記憶は脳の別の部分にちゃんとあるが、事故以後の記憶は1日で失われる。毎夜寝るたびに消えるのだ。毎朝彼女は去年の10月13日に戻る。娘が混乱しないよう父親は毎朝特注した10月13日付の新聞を玄関に置いておく。ルーシーを好きになったのがヘンリー。水族館に勤める獣医だ。父親は「娘に普通の交際は無理だ。近づくな」と接近禁止令を出すが、ヘンリーは毎日道端で待ち伏せ、車の故障を装ったり、暴漢に襲われたふりをしてルーシーに近づく。「何のトクがあって娘と関わる」と尋ねる父親に「将来彼女に何が起こる? ある朝鏡を見て老いた自分に気づくだけだ」▼ヘンリーは主治医に会う。ルーシーも話を聞きたいという。それは過去何度も繰り返したがルーシーは覚えていない。一流の脳外科クリニック、キャラハン研究所の主治医「気の毒だが状態は一生変わるまい。だがマシな方だ。10秒ごとに記憶を失う重症患者もいる」。ヘンリーはルーシーのショックは、事故より周囲がお膳立てした生活で自分を偽っていたことだと父親に言う。毎日新しい現実に触れさせるべきだと。ルーシーは心の底ではきっと自分のことを覚えている、そう信じた。ここが偉いと思う。人間1人の細胞は約37兆個。脳だけじゃない。2人で触れ合った手のぬくもり、笑い声、同じものを食べた時の和みや楽しさ、僕たちが交わした会話の何か一言、それらは全細胞のどこかに刻み込まれている。彼は37兆分の1に賭けたのです▼ルーシーはヘンリーの夢がアラスカでセイウチの生態を調査することだと知り、自分のためにそれを止めようとしていると知る。ヘンリーは結婚しようというが「私といてもあなたの未来はない」。ルーシーはヘンリーと会って以来詳細につけていた日記を破棄し、彼の手がかりを全て抹消して病院に入る。アラスカに出航の日、父親がCDを記念にくれた。ヘンリーと会った日は必ずルーシーが歌っていた歌だ。父親もまた口には出さなかったが、娘には記憶する能力が残っていると信じていたのだ。出航を中止。病院に走ったヘンリーが見たのは、患者たちに絵を教えるルーシーと、彼女の描いた絵だった。部屋中に貼られた絵は全てヘンリーの顔だった。「夢に出てくるの」。場面転換。ルーシーがベッドにいる。目が覚めるとビデオに事故から今日までのあらましとヘンリーとの結婚式が収録してあり「外は寒いよ」と語りかけた。出てみると氷山が浮かぶアラスカ。船の甲板にいるのはヘンリーと、父親、そして幼い娘だった▼愛にはいろんな形がある、幸せにもいろんな感じ方がある。方程式はない。解き明かせないものを信じるのも愛だろう。男の思いを受け入れるルーシーには「明日になったら忘れる」恐れと虚しさがつきまといます。「その方がいい、退屈な俺の正体がばれないから」と男は言う。ふたりの周囲にいる人たちがやさしい善意の人ばかりであることも嫌味になっていない。水族館のヘンリーの同僚、性別不明なアレクサをルシア・ストラスが演じています。金髪を三つ編みにして頭に結いあげたシャープな容貌。アレクサは自身の恋愛に停滞しながらもルーシーの弟ダグと意気投合、ルーシーの結婚式に揃って出席し、彼らのゴールインも近いムード。ペンギンのウィリー、セイウチのジョッコがヘンリーとのおしゃべりで脇を固める、多様性豊かな映画です。

 

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