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特集「ラブコメは天使のため息」

2022年1月23日

特集「ラブコメは天使のため息2」⑥
ロング・ショット僕と彼女のありえない恋(上)(2020年 コメディ映画)

監督 ジョナサン・レヴィン

出演 シャーリーズ・セロン/セス・ローゲン

シネマ365日 No.3820

誰も本気にしません

2021年9月現在、世界の現職女性首相は何人いるだろう。アンゲラ・メルケル(ドイツ)、シェイク・ハシナ(バングラディシュ)、エルナ・ソルベルグ(ノルウェー)、サーラ・クーゴンゲルワ(ナミビア)、アナ・ブルナビッチ(セルビア)…少なくとも17人はいる。米国では2016年、ヒラリー・クリントンが大統領候補となり、トランプに敗れたが、バイデン政権でカマラ・ハリスが米国初の女性副大統領となった。こういう潮流を受けたいま、女性大統領誕生を現代のおとぎ話に仕立てあげたのが心憎い。国務長官シャーロット(シャーリーズ・セロン)が、幼馴染で失職中のジャーナリスト、フレッド(セス・ローゲン)と自然保護団体のパーティーで再会した。シャーロットは16歳の時、13歳のフレッドの子守をしていたことがある。まあ、久しぶり。彼の書いた記事を検索すると面白いので、自分の演説にもっとユーモアを加えたいと、小ネタのかけるスピーチライターに採用した▼シャーロットは恋愛のために野心を捨てる女ではない。政治は妥協を必要とする。現職のチャンバース大統領が次期大統領選に不出馬、「君を支持する」と表明したのだから大統領を目指すシャーロットは「王手!」…のはずだった。彼女の目下のミッションは世界環境再生案協定書に100ヶ国の支持を獲得することだ。そのため世界を飛び回っている。難題だった中国とインドを説得し、カナダ首相とタンゴを踊り、アルゼンチンで資金と支持を集め、マニラではテロの襲撃を受け、ストックホルムで生まれて初めてオーロラを見て、美しい地球の保護を再認識した。最後に残っていたフランスの支持を得て目標を達成し凱旋する。待ち受けていたのが大統領の裏切りである。「今後の国の将来に必要なデータセンター設立に投資が必要だ。しかし建設予定地はアラスカで環境保護区なのだ」「では他の土地を当たってください」とシャーロット。「驚いたよ。物分かりのいい君が私に反対するなんて。環境再生案から“森林”を削れ」▼大統領がこんなことを言い出したのは、最大の出資者がアメリカメディア王・ウェンブリーで、彼は以前からシャーロットにご執心、何度もデートを申し込んでいるが「あいつ、大嫌い」のシャーロットに振られ続けてきた。積年の恨みを「晴らさずにおくものか」老富豪の執念はメラメラ。大統領を焚きつけ、環境保護再生案にイチャモンをつけたのだ。協定書から森林を削らなければ「これをネットに流すぞ」。なんと、フレッドがパソコンの前でオナニーにふけり、白い液体が顔にビシャッと飛び散るところまで盗撮されていたのだ。「これがお付き合いしている君のボーイフレンドだね」。まさにそう。フレッドの書くスピーチ原稿は、ある時はノスタルジア、ある時はアットホーム、ある時は映画のセリフ。小難しく固い演説ではなく、心をくすぐり、和ませ、笑わせ、共感を掻き立て大衆の心をつかんでいた。シャーロットはすっかり彼に心を開き、頼りにしいつか2人は愛し合う。国務長官の寝室から出てきたフレッドを目撃したシークレット・サービスに「内緒だぞ」とフレッド。「ご心配なく、誰も本気にしません」。

 

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