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令和4年4月のベストコレクション

2022年4月26日

特集「令和4年4月のベストコレクション」⑨
DUNE/デューン砂の惑星 (2021年 SF映画)

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演 ティモシー・シャラメ/レベッカ・ファーガソン/ステラン・スカルスガルド/シャーロット・ランプリング

シネマ365日 No.3913

新しさは女優陣の多用

デヴィッド・リンチの同名作品が複雑難解と酷評を受けたせいか、随分判りやすくなりました。原作者のフランク・ハーバートはSFと呼ばれることに抵抗があり、「アーサー王物語」のような「神話」と受け止めてほしかったと言います。その意味では壮大な絵巻物のような映像叙事詩にしたことは成功だったと思えます。本作で5度目になる映画化ですから、映画作家たちのチャレンジ意欲を掻き立てる要素があるに違いありません。配役も豪華です。ストーリーを簡単に言うと、時代は1万191年の超未来。人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築き1つの惑星を1つの大領家が治める分割統治である。順調に自国を統べていたレト・アトレイデス公爵は、宇宙皇帝の指示により砂漠の惑星アラキスの管理権を受け入れる。アラキスは抗老化作用をもつ香料メランジの唯一の生産地だった。従って管理者となるアトレイデス家に莫大な利益をもたらすはずだったが、これは陰謀だった。デューンは元々ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)の領地で、彼は皇帝と結託し、アトレイデス家を滅亡させるのが目的だった▼幕府の嫉妬深く疑り深い将軍が、潤沢な藩を妬み、没収するため、忠義度を試すと称して荒地に移封させるようなものです。聡明な公爵は罠であることを知っていたが、無用の争いをさけ、息子ポール(ティモシー・シャラメ)と、愛妾ジェシカ(ポールの母=レベッカ・ファーガソン)、信頼できる部下を選んで砂の惑星に移る。香料採掘は難航を極める。男爵が残した機械はポンコツで、おまけに砂漠の怪物砂虫が襲撃する。公爵は殺され、息子とその母を狙う追手が迫る。彼らはアラキスの原住民であるフレメンと出会い、ポールは若き指導者として敵とあいまみえると決意する。以下「デューン2」に続くようです。これから、という場面でプッツン、狐に鼻をつままれたような終わり方でした▼撮影技術の粋とも言える圧倒的な視覚音響、美術・衣裳デザインもさることながら、物語を親しみやすく、ソフトにしたのは女優陣の多用かと思えます。ジェシカは息子に指導者としての基礎訓練を与え、彼女にそれを薫陶した教母ガイウス・ヘレン・モヒアムにシャーロット・ランプリング(黒いヴェールで顔を隠しランプリングとは判りませんが)。教母とはジェシカが学んだベネ・ゲセリット学院の恩師であり、皇帝の〝読真師〟を務める影の実力者だ。公爵は自分の暗殺を予期しており、ジェシカに「母であると同時にベネ・ゲセリットとして息子を守れ」と言いおきます。宇宙帝国の次期トップとして一人前にせよということですね。母親と息子の関係は親密で、息子の裸を見てジェシカが狼狽えるシーンなど、あぶないですな。欲の皮のつっぱった男爵は、ヨーロッパの穀倉地帯ウクライナを我が物にしたい大統領に似ている。デューンが資源の奪い合いの舞台であり紛争の中心となることも、この映画から169年前に当たる地球の2022年と変わりません。生物学者のリエト・カインズ博士は男性でしたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は女性に変えました。多様性の意図もあるでしょうが性別に関係ないと見たのでしょう。彼女の娘役で、原住民のチャニがゼンデイヤ。本編では謎の女性としてポールの夢に現れ、本格的な出番はまだありません。驚いたのはハビエル・バルデムが原住民の部族長として出演し、ティモシー・シャラメと一騎討ち。負けます。よって部族のリーダーとしてポールが認められる筋書きです。バルデムがわずか数分の登板という勿体なさ。これ「2」でなんとかしてくれるよね▼映画は大ヒットし、興収も上々、おおむね高評価でしたが「絢爛、荘重」な映像美を認めつつも「トリックを使い果たすと、ぼんやりした形のないものになってしまう」という辛口もありました。物語の中核に入るまでの「マクラ」が長すぎ、本作がイントロだけで終わったと、残念がる声が多かったのが事実です。

 

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