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特集「最高の悪役」

2022年5月10日

特集「最高の悪役5」⑩ ジェシカ・チャスティン
X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年 SF映画)

監督 サイモン・キンバーグ
出演 ジェームズ・マカヴォイ/ジェニファー・ローレンス/ソフィー・ターナー/ジェシカ・チャスティン

シネマ365日 No.3927

X- WOMENに変えたら?

最高の悪役

NASAの宇宙船がトラブルに巻き込まれ、乗組員救出に当たったX-MENチーム。ジーン(ソフィー・ターナー)は作業中、太陽フレア(太陽の爆発現象)による強度な放射能を浴び、パワーレベルが測りきれないほど強力となった。太陽フレアによって滅んだ別の星(ドゥバリ帝国)にいたエイリアンが地球を狙っていた。先見隊長として地球に到着したのがヴーク(ジェシカ・チャスティン)だ。帝国再建のためにはジーンが保有する放射能熱量が要る。それは全てを破壊もすれば再建もする強大な力だ。ジーンは桁外れなパワーのため仲間たちからも異常視され孤独な存在になっていた。理解者はレイビン(ジェニファー・ローレンス)だけだ。ジーンの力になりたいと接近するが、自分を制御できなくなったジーンのため殺されてしまう。早々とジェニファー・ローレンス退場です。この辺りからなんとなく間が抜けているわ。レイビンは現在のX-MENのあり方に疑問を持っていた。彼女はリーダーのチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)に「あなたは彼女の危険な作業を止めなかった。大統領に仲良しになり、雑誌の表紙を飾り、表彰され満足している。ここの男を救うのはいつも女。X-WOMENと名前を変えたら?」▼こういう問題意識を本作は素通り。さっぱり深みを出せない。ならば悪役ジェシカ・チャスティンに頑張ってもらおう。ヴークがジーンに言うには「太陽フレアの爆発力が私の星を滅ぼした。触れたもの全てを破壊する力だ。私が協力すればあなたの力を制御できる。あなたを使って新しい世界が作り出せる。塵を水に、水を生命に。あなたはより偉大な存在になり銀河系で最大の力を振るう。悪や善という言葉を作った人間たちは考えが小さく、あなたを理解できない。X-MENでさえそう。あなたは何者、ジーン? 車椅子の男(チャールズ)に操られる弱い女の子? わかっているはずよ、あなたは見捨てられた女よ」。ジェシカ・チャスティンはのっぺりしたお面のような表情で巫女みたいに託宣を下す。X-MENはジーンをコントロールできないため抹殺するつもりだと信じ込ませる。ジーンは失踪した…こういうの、人類を救うスーパーヒロインとしてはどうなのでしょうね▼「ワンダーウーマン」みたいに〝イケイケドンドン〟じゃ単純すぎるのかもしれませんが、ビジュアルにしても目を剥くようなメイクでもなくファッションでもアクションでもなく、男性陣はレイビンの指摘通り「女がいつも助ける」存在だし、ラストに至っては予定調和も甚だしい。仲間に犠牲者を出さないために、ヴークを連れてジーンは地球を離れ破壊するのだが、その爆風で自分も吹き飛ばされ宇宙に消える。抱き合い心中で幕引きよ。X-MENと人類を救ったジーンの死後、ミュータント学校はジーン・グレイス・スクールに改名し、チャールズは引退。レイブンの死をめぐって歪みあっていた元親友のエリックと(俺たちの時代は去ったのだよな〜)と、チェスをしているのだ。えらい目に遭ったのはやっぱり女だけじゃない。ダーク・フェニックスという、せっかくカリスマ性のあるヒロインにしておきながら力を制御できないなんて、持ち上げておいて引きずり下ろすようなものよ。「スーパーマン」だって悩んだ一時期があったから、ミュータントにもあっていいだろうという解釈は成り立たないわ。人間を超越しているから「超能力者」なのに、人間並みに妥協させたのはおかしいわ。ジェシカ・チャスティンに異形のメイクをさせなかったのはなぜ? X-MENの面白さのひとつは「異形の美術館」にあったのに、悪のヒロインからそれを取り上げたら、お化けの出てこないお化け屋敷みたいなものよ。大赤字やむなし。

 

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