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特集「怖いものみたさ」

2022年5月14日

特集「怖いもの見たさ4」④
ザ・マミー(2019年 ホラー映画)

監督 イッサ・ロペス
出演 パオラ・ララ/フアン・ラモン・ロペス

シネマ365日 No.3931

さよなら、シャイネ

特集「怖いもの見たさ4」

「2006年の麻薬戦争以来、メキシコは16万人が死亡、5万3000人が行方不明に、一部の地区がゴーストタウンになった。死亡や行方不明者が残した子供たちの数は明らかでない」と字幕に出る。エストレア(パオラ・ララ)は11歳。母が行方不明に、エストレアは孤児になった。学校がテロの襲撃にあい、学級閉鎖となった。学校から帰り「ママ、ただいま。学校が休みになったよ」と言う。赤い細い血の筋が走り、天井を伝い、ワンピースに赤いシミができた。エストレアは感性に優れ、霊的な存在を感じることができる。エストレアはいつも「ママが戻りますように」祈っている。失踪して2日目から自分を呼ぶ母の声が聞こえるようになった。家に1人いると泥棒に入った少年シャイネ(フアン・ラモン・ロペス)が、母さんは組織にさらわれた、と言って逃げた。エストレアは少年を尾行し焼け跡の掘建小屋にたどり着く。そこには親を殺された子供たち4人が野宿同然の生活をしていた▼「死んだはずの〝ママ〟の驚愕の正体が暴かれるとき、全世界の心臓が止まる」とジャケ写にありますが、全然ちがう。ママは拷問で殺されており、魂となって娘のそばをさまよい、自分を殺した男の元に連れて行くように伝える。だったらママが直接その男のところへ行けばいいようなものですが。その男チノは犯罪組織ファスカスの首領。麻薬売買、人身売買、さらった人間の体を切り刻んで売る臓器売買、女は殺し子供は売り飛ばす非道なギャングだった。ママの幽霊よりこっちの方がホラーです。ママは何ゆえ、チノを連れてこいと言ったのか。ママの誘導に従って暗くて小さな、エストレアが這ってやっと入れる小さな穴にたどり着くと、そこには無数の女たちの死体。ママを見つけた。ママの腕からエストレアがいつかその腕輪をちょうだいね、と言った鳥のデザインの腕輪が、小さな鳥になって離れエストレアの腕に収まった。追ってきたチノによってシャイネは射殺、他の少年たちも殺される。最年少でエストレアと仲のよかったモロは、生きていたときと同じトラのぬいぐるみを抱き、ライターをエストレアに与えた。チノがいる穴倉にエストレアはライターを投げ込む。猛火が生じた▼エストレアの母親や殺された母親たちは復讐の女神でもあります。チノを生かしておく限り娘たちの災いは避けられない、殺すしかない。かわいそうなのはシャイネで、彼はトラに王の威厳を見て、トラになることを夢見ていた。勇敢な少年でグループのリーダーでもあった。家が焼失した時におった火傷が頬にある。「願い事が3つ叶う」白いチョークをクラスの先生からもらっていたエストレアは、死んだシャイネの頬をチョークで撫でてやります。最後の願い事はあなたの火傷の跡を消してあげること、と約束していたのです。ファンタジーの色合いが濃いのですが、メキシコの悲惨な実情がリアルで、幻想に終わらせていません。チノを焼死させた後、穴の外でエストレアは大きなトラ(本物)が寝そべっているのに出会う。トラはゆっくりと起き上がりエストレアを振り向く。「さよなら、シャイネ」。微笑と共にトラを見送る少女が、幽霊と人殺しと復讐の物語を救っています。

 

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