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特集「怖いものみたさ」

2022年5月15日

特集「怖いもの見たさ4」⑤
クワイエット・プレイス破られた沈黙(2021年 ホラー映画)

監督 ジョン・クラシンスキー
出演 エミリー・ブラント/ミリセント・シモンズ/キリアン・マーフィー

シネマ365日 No.3932

廃墟の天使

特集「怖いもの見たさ4」

隕石とともに出現した怪物は凶暴で残虐で、パワーとスピードを備え、長い4本の蜘蛛のような脚を持つ。光のない世界から来た彼らは音のみに反応する。人類は絶滅寸前。前作で夫と次男を失ったイヴリン(エミリー・ブラント)は、生まれたばかりの赤ん坊と娘リーガン(ミリセント・シモンズ)とその弟マーカスを連れ、救いを求めて外の世界に出た。今回の主人公は娘のリーガンです。先天性聴覚障害を持ち、手話で会話する彼女。命を捨てて家族を救った勇気ある父を尊敬し、自分も父のようにあらねば、と世界を救うために1人で旅立つ。庇護された子供ではなく自力で怪物に立ち向かう15歳の少女。耳が聞こえないハンディがありながら、敏捷に接近し捕獲、殺戮する怪物に対抗できるか。彼女を支えるのが怪物に家族を殺され、生きる気力を失った隣人のエメット(キリアン・マーフィー)だ▼セリフのない沈黙のシーンが続くのは前作に同じ。真昼の地上に姿を現した怪物の異形、言葉を発せない緊張が全編に張りつめます。リーガンはラジオから流れてきた曲が「ビハインド・ザ・シー」だと弟に言われ、生き残った人類が発するメッセージだと気づく。位置測定するとニューヨークから丸1日の距離にある島だ。そこへ行き、ラジオ局で怪物たちの頭を破裂させる音楽を拡大して流し、全滅させるという計画を立てる。エメットはリーガンの肝っ玉に引きずられ旅を共にする。母親と弟マーカスは廃工場の鋼鉄の金庫に避難していたが、マーカスはトラバサミで足を挟まれ大怪我。大音声で喚き、怪物に悟られた。出没するに違いない。しかし薬も包帯もなく悪化する傷をそのままにしておけない。母親は危険を承知で街の薬局跡にたどり着く。マーカスは赤ん坊を任され自信なくおろおろ。よせばいいのに母親の後を追い、怪物に見つかって金庫に避難するとき、誤って赤ん坊と閉じ込められる。酸素は不足してくる。あっちもこっちも危機状態だ▼怪物は泳げない。だから水辺に避難していたゴロツキどもが、リーガンとマーカスを襲うがリーガンが手話で「ダイブ」と伝えマーカスは水に飛び込む。その直前、ゴロツキ男の太ももにナイフをグサッ。悲鳴を捉えた怪物がくるわ、くるわ。その隙にリーガンたちはボートで島に到着する。そこは生き延びた家族たちが暮らす楽園だった。温かく迎えられた2人。でも待った。しのびやかな気配を察したマーカスが船着場に来ると、なんと、怪物はボートにつかまって島に来たではないか。彼らは殺戮だけが目的だから、動いて音を立てる者はなんでも殺すのである。このままでは皆殺しだ。マーカスとリーガンは島のラジオ局にたどり着き、ハウリングをアンプで増幅させた。怪物の頭は360度全開、中身爆発▼ニューヨークではラジオから聞こえたハウリングで姉が生きていることを知ったマーカスは、痛む足を引きずって左手にアンプ、右手に銃を持って怪物に接近。醜い姿を撃ち砕く。あっぱれな初陣だ。ラジオ局では対決が続いている。耳の聴こえないリーガンを物陰からマーカスが手話で誘導。私はここよ、思い知れ。最後の1匹の脳天にリーガンは鉄棒をグサッ。濁った液体が噴き出て怪物は断末魔の最期をとげる。少年少女のお見事な活躍でありました。スピーディーな処理がいいのと、「人物たちの内面を描きたかった」というジョン・クラシンスキー監督。赤ん坊と息子の隠れる地下金庫に迫る怪物を、おびき寄せる母親の捨て身の反撃や、ドジばかり踏んでいた弟が土壇場で男開眼。怪物ににじり寄っていく雄姿を見よ。でもやっぱり極め付けはこの子、リーガンです。草ぼうぼう、無人の鉄路を1人、枕木を踏んで踏破する廃墟の天使。単純なホラーですが、書きたいことが多かったです。

 

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